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小泉政権下(平成13年〜18年)において、「構造改革なくして景気回復なし」をスローガンに、小さな政府を目指す改革と、国と地方の三位一体の改革を含む「聖域なき構造改革」が実施される中、医療においても制度改革が行われ、政府の総合規制改革会議や経済財政諮問会議でいわゆる「混合診療」導入の是非が議論された。 |
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財務省や日本経団連等の経済界は、国内未承認の医薬品の使用や手術が可能となることにより、患者の選択の幅が広がり、競争により医療技術・サービスの質の向上が期待されるとし賛成したが、厚生労働省や健保組合、日本医師会・日本看護協会等は医療の不平等をもたらし、皆保険制度の崩壊に繋がるとして反対した。衆参両院においても、混合診療解禁反対の請願が、当時、野党であった民主党議員を含んだ全会一致で採択された。 |
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結果的には、混合診療は全面解禁されなかったが、現行制度の枠組みの中で、従来の特定療養費制度の対象を広げ、「保険外併用療養費制度」を創設し、将来の保険導入の為の評価を行う「評価療養」として、先進医療や薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用等と保険診療を併用することが認められることとなった。 |
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民主党政権が発足し、昨年暮れに「新成長戦略」を閣議決定し、「医療・介護は国民経済への波及効果の高い力強い産業として、非常に重要な位置付けがなされるべきである」とした。また、内閣府の行政刷新会議の中の規制・制度改革に関する分科会(ライフイノベーションWG)や経済産業省が発表した「産業構造ビジョン2010」には、「混合診療」の全面解禁や公的保険外の健康関連産業の創出、メディカルツーリズムの受け入れ拡大等が明示されている。 |
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小泉政権期に議論された「混合診療」は、規制緩和し、医療費を抑制することが第一の目的だったことに対し、この度、政府が掲げている「混合診療」は、現行制度よりも手続きが柔軟で迅速な新たな仕組みを検討すると同時に、シームレスな医療・介護等のサービスを提供する産業の創出を促すとしており、成長戦略の一環としての位置付けが強い。(裏面表−1参照) |
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保険診療と国内未承認の医薬品の処方を同時に受ける場合等、公的医療保険で認められている診療( 保険診療※ 下図(1) 参照) と、認められていない診療( 保険外診療) を同時に受けることを「混合診療」と呼んでいる。
診療は不可分一体であり、保険診療と保険外診療を併用して、何か問題が発生した場合には、公的医療保険の信頼性も損なわれる為、現在では、混合診療は自己責任による全額自己負担(
保険診療の全額自己負担+ 保険外診療の全額自己負担※ 下図(2) 参照) となっており、混合診療は原則として認められていない。
ただし、厚生労働大臣が定める「評価療養」及び「選定療養」については、「保険外併用療養費制度( 平成18年9月までは特定療養費制度と呼ばれていた。) ※
下図(3)参照」として保険診療との併用が認められている。 |
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