内 容 |
項 目 |
点数等
(前回改定との比較) |
・救命救急センター・二次救急医療機関の
評価の充実 |
救命救急入院料・充実度評価A加算 |
1,000 (+500) |
救急医療管理加算 |
800 (+200) |
乳幼児救急医療管理加算 |
200 (+50) |
ハイケアユニット入院医療管理料 |
4,500 (+800) |
・産科・小児医療の評価の充実 |
ハイリスク分娩管理加算 |
3,000 (+1,000) |
妊産婦緊急搬送入院加算 |
7,000 (+2,000) |
新生児特定集中治療室管理料 |
10,000 (+1,500) |
・難易度が高く人手を要する手術料の引き上げ |
大動脈瘤切除術 etc |
114,510 (+21,510) |
・小児に対する手術評価の引き上げ |
手術料・乳幼児加算(3歳以上6歳未満) |
当該手術の所定点数の
50/100を加算 |
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重点課題2.病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援) |
・看護補助者の配置の評価 |
急性期看護補助体制加算1(50対1) |
120 (新設) |
急性期看護補助体制加算2(75対1) |
80 (新設) |
・医師事務作業補助体制加算の評価の充実 |
15対1補助体制加算 |
810 (新設) |
100対1補助体制加算 |
138 (+33) |
・早期の入院医療の評価 |
一般病棟入院基本料・14日以内の期間の加算 |
450 (+22) |
・地域連携診療計画に基づく連携の評価 |
地域連携診療計画退院計画加算 |
100 (新設) |
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・地域医療を支える有床診療所の評価 |
有床診療所入院基本料 |
評価区分の見直し |
有床診療所一般病床初期加算
(7日以内、1日につき) |
100 (新設) |
・地域連携診療計画に基づく連携の評価 |
地域連携診療計画退院時指導料(U) |
300 (新設) |
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内 容 |
項 目 |
点数等
(前回改定との比較) |
・がん治療に対する評価の充実 |
外来化学療法加算(1) |
550 (+50) |
・質の高いがん診療に対する評価 |
がん診療連携拠点病院加算 |
500 (+100) |
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患者からみてわかりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点 |
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・医療安全対策の推進 |
医療安全対策加算(1) |
85 (+35) |
・明細書発行の推進 |
明細書発行体制等加算 |
1 (新設) |
・地域医療に貢献する診療所の評価 |
地域医療貢献加算 |
3 (新設) |
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医療と介護の機能分化と連携の推進を通じて、質が高く効率的な医療を実現する視点 |
・検体検査評価の充実 |
外来迅速検体検査加算(最大5項目まで) |
10 (+5) |
・訪問診療の評価 |
往診料 |
720 (+70) |
在宅移行早期加算 |
100 (新設) |
・療養病床入院基本料の見直し |
療養病棟入院基本料 |
評価区分の見直しと
適正化
(+49〜+592) |
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・後発医薬品の更なる使用促進 |
後発医薬品使用体制加算 |
30 (新設) |
・医療機器の価格等に基づく検査
および処置の適正化 |
矯正視力検査 |
69 (-5) |
精密眼圧測定 |
82 (-3) |
屈折検査 |
69 (-5) |
自覚的視力検査 |
350 (-50) |
嗅裂部・鼻咽喉・
副鼻腔入口部ファイバースコピー |
600 (-20) |
いぼ焼灼法(3箇所以下) |
210 (-10) |
いぼ冷凍凝固法(3箇所以下) |
210 (-10) |
・デジタル撮影の促進 |
エックス線撮影料(アナログ・単純撮影) |
60 (-5) |
〜名目GDPと実質GDP〜
GDP(国内総生産:gross domestic product)とは、「ある期間内に、国内でどれだけのモノやサービスが生産されたか」を表す金額を指し、国の経済の規模や成長を測る際に用います。単純に計算したGDPは、名目GDPと呼ばれ、数値に物価変動の影響を受けます。一方、名目GDPから物価変動の影響を除いたものは実質GDPと呼ばれ、名目GDPを物価変動の動向を表すGDPデフレーターで割ったものを指します。
【実質GDP=名目GDP/GDPデフレーター】 経済活動の実質は物価の変動により変化しており、例えば、名目GDPが10%増えていても物価が20%上昇していれば経済は成長しているとは言えません。よって経済全体で金額がどれだけ上昇(成長)しているかは、実質GDPを用いるのが一般的です。我が国の場合、戦後50年で名目GDPは約60倍に増加していますが、物価変動の影響を除いた実質GDPで見てみると約10倍の増加となります。また、1990年代頃まで、国の経済の規模や成長を測る際にはGNP(国民総生産:gross
national product)が用いられていましたが、海外在住の国民の生産量を含み、生産量を正確に表すことができない為、現在はGDPを用いています。ちなみに、2008年のIMFのレポートによると、日本のGDPはアメリカに次いで、世界第2位で世界のGDPの約8%を占めています。しかしながら、第3位の中国に追いつかれそうな勢いです。 |
表-1 「平成22年度レセプト調査」4月分結果速報
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入 院 |
入院外 |
総点数
(前年同期比) |
病 院 |
+4.26% |
+2.02% |
診療所 |
+6.01% |
-0.05% |
1日当たり点数
(前年同期比) |
病 院 |
+3.62% |
+3.44% |
診療所 |
+5.68% |
-0.21% |
※総点数の前年同期比は、全体で2.08%のプラスであった。
「日本医師会2010年6月10日定例記者会見資料」より作成
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<医療情報室の目> |
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平成22年度の診療報酬改定は、10年ぶりにネットでプラス改定であった。急性期、救急、産科、小児科医療等に手厚く、いわゆる9時・17時診療のビルクリニック等には厳しい内容で、医療機関の機能によって診療報酬の差別化が際立つ改定内容であった。今改定の全体像を見ると、各々の医療機関に医療機能の専門性についてメリハリを持たせ、地域医療の中でキャラクタライズされる方向へシフトしようとする厚労省の狙いが覗える。また、診療所の再診料が引き下げられた代わりに「地域医療貢献加算」なるものが新設され、様々な議論を呼んでいる。この「地域医療貢献加算」については、「24時間対応」への誘導に反対を表明している医師会もあり、同じく新設された「明細書発行体制等加算」についても患者からの診療内容照会の増加を懸念する声が挙がっている。
今改定は、医療崩壊の一因と指摘されている勤務医の過重労働等の待遇改善に重きを置く色合いが濃くなっており、診療所レベルではマイナス改定となった医療機関もある。診療科別に見てみると、眼科が前回の改定に引き続き、狙い撃ちされた感があり、精神科や皮膚科もマイナス幅が大きい。在宅医療は、往診料のアップを始めとしてプラス要素が多く見られる一方、マンション等の同一建物内の訪問診療料が大幅なマイナスとなっている。各医療機関は、今改定のメッセージを読み取り、自院の医療機能で算定可能な項目に対応するべく戦略を練ることが急務である。
中医協は、「地域医療貢献加算」や「明細書発行義務化」の検証も含んだ今改定の結果の検証項目をまとめた。これまでの調査は、厚労省主導で調査にバイアスがかかっていた為、中医協の議論に役立つ調査を行えるよう設計段階から現場の意見を反映させるべきとしており、今後の調査の行方が注目されている。
菅総理は「政治の役割とは最小不幸の社会を作ること」とし、「強い経済・強い財政・強い社会保障を一体として実現する」ことを明言した。「最小不幸の社会」作りは、国民生活のセーフティネットである社会保障・医療の充実が必要不可欠条件であることを前提にした総理の発言として期待したい。
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