医療情報室レポート |
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bP43
2010年3月26日
福岡市医師会医療情報室
TEL852-1501・FAX852-1510
特集 : 平成22年度診療報酬改定その1〜経緯〜 |
昨年8月の衆院選で民主党が圧勝し政権交代が実現した結果、平成22年度の診療報酬改定は、中央社会保険医療協議会(中医協)の委員から日医執行部が外される等、政治主導が前面に出て、従来の手法から大きく様変わりした。 |
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○ | 平成21年12月、中央社会保険医療協議会(中医協)は、我が国の医療費が国際的に見て低水準にあるにもかかわらず、医療現場の努力により質の高い医療が維持されてきたとした。また、前回の改定は、医療現場の疲弊・医師不足等の課題が指摘される中での改定であったが、これらの課題が必ずしも解消しておらず、我が国の医療は未だ危機的状況にあることを示した。 | ||
○ | このような状況を踏まえ、今改定の重点課題を(1)救急・産科・小児・外科等の医療の再建、(2)病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)とし、改定の視点として以下の4点をあげた。 |
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○ | 平成14年度改定以降、改定率は連続して引き下げられている。その結果、医療機関は厳しい医業経営を強いられており、それが医療崩壊を招く一因となっていることは明らかである。 | |||||||||||
○ | 政権与党は対GDP比の医療費をOECD加盟諸国平均まで引き上げるとしている。その為には医療費を10%引き上げなければならない。 | |||||||||||
○ | 医療は急性期・回復期・慢性期・通院・在宅医療等、どれかひとつが綻びても国民は行き場を失ってしまう為、地域医療全体が健全化し、より連携を強めることができるようにしなければならない。 | |||||||||||
○ | 経済環境・雇用環境に回復の兆しが見られない中、国民が早期受診を控えている可能性がある。 | |||||||||||
○ | 社会保障は平時の国家安全保障であるとの認識の下、大胆な医療政策に転換し医療再生を実現しなければならない。 | |||||||||||
改定率と医療費の数年の推移 |
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○ | 平成21年の秋口時点では、政権与党は10%以上の改定率引き上げを目指していたが、財政難や子ども手当等の財源不足から、財務省は「デフレ下において引き上げはあり得ない」と20年度改定に引き続き薬価を中心に医療費全体の引き下げを実施する方針を示した。 | 〜診療報酬の決定と中医協の歴史〜 我が国の診療報酬は政府が決定している。その歴史は1927年(昭和2年)の健康保険法施行まで遡り、当時は、支払側と診療側との契約によって決められていた。 1943年(昭和18年)に、日本医師会・健康保険組合連合会・国民健康保険組合等の関係団体の協議の上、厚生大臣(現:厚生労働大臣)が決定するシステムに変更され、1944年(昭和19年)に、学識経験者を含む「社会保険診療報酬算定協議会」が設置された。そして、1950年(昭和25年)に、「社会保険診療報酬算定協議会」と保険診療の指導・監督を行っていた「社会保険診療協議会」が統合される形で、中央社会保険医療協議会(中医協)が誕生した。 診療報酬改定率の決定は、1970年代当初に、物価・賃金の変動に対応させるスライド方式を採用していたが、その後、1980年代から、予算の元締めである大蔵省(当時)の意向が大幅に反映されるようになり、国の医療費抑制策が本格化していった。それ以降、国家財政が捻出可能な財源の範囲内での改定が慣例化し、1980年〜90年代初頭のバブル景気と、バブル崩壊後のデフレの状況下においても、診療報酬の改定率は引き下げられてきた。その底流には「市場原理主義」の考えが一貫してあったと言える。 |
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○ | 政務三役は診療報酬改定分として改定率で、約4%引き上げ相当を来年度予算で概算要求し、足立厚労政務官は、「本体部 分は1.73%前後の引き上げを求める」と言及した。 | ||
○ | しかし、実際は本体部分1.55%の小幅な引き上げで決着し、また、この年末の予算編成過程において、今回初めて、閣僚折衝の段階で改定財源を入院に4,400億円(うち約4,000億円は急性期入院医療)、外来に400億円配分することが決定された。政権与党は、官僚依存からの脱却を目指し「政治主導」をアピールしているが、まさに「財務省主導」の下、中医協は診療報酬配分の大枠まで決められてしまい、その存在感は一気に低下した。 |
<医療情報室の目> | |||
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