|
○ |
アメリカの医療制度の特徴は次のとおりである。
(詳細は、医療情報室レポートNo.134「我が国から見たアメリカ医療の問題」に掲載) |
|
・ |
個人に干渉しない自己責任の精神と、連邦制で各州の権限が強いことが社会保障制度のあり方に影響を及ぼしており、医療保障・高齢者所得保障において民間部門の果たす役割が大きい。公的医療保障の対象は65歳以上の高齢者・障害者(メディケア:Medicare)と低所得者(メディケイド:Medicaid)に限定されている。 |
・ |
全国民を対象とした医療保障、公的皆保険制度が存在しない為、民間医療保険に加入するのが主流で、国民の6割がこの民間医療保険でカバーされている。よって、国民が加入している医療保険は、公的医療保障であるメディケア・メディケイドか、自己負担もしくは企業負担の民間医療保険であり、加入しない(できない)者は無保険者となる。 |
|
・ |
いかなる医療保険の適用も受けていない無保険者は人口の15%の約4,600万人(2007年)に達している。無保険者は法律上患者の診療が拒否できないER(Emergency
Room:緊急救命室)を頼る者が多く、当然ながら無保険者は診療費の支払い能力に乏しい。診療費は州税や医療保険会社拠出の基金で賄われており、この状況は救急医療現場の混雑と医療費を増大させる原因となっている。 |
|
・ |
全米の病院のうち15%程度は、株式会社による病院経営が行われており、経営難の病院を買収したり、採算の取れない診療科は閉鎖したり、患者の入院日数を強制的に短縮させたりと自社の利益と効率性を最優先する傾向にある。・ |
・ |
医療費を抑制する為、HMO(Health Maintenance Organization:健康維持組織)に代表されるような民間医療保険会社が医療へのアクセスや医療内容を管理・制限するマネジドケアと言う管理型医療保険が発達している。 |
・ |
保険料を100として、実際にどの程度が医療費として給付されるかを示す数字を「メディカルロス(医療損失)」と言う。保険会社はできるだけ患者の医療にコストをかけないようにし、支出を抑えることを目指す。アメリカの民間医療保険会社のメディカルロスは平均81で、一方メディケアは98であり、民間医療保険会社がいかに医療サービスに対しコストを抑えているかがわかる。 |