今年3月28日に厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では報告書をとりまとめ、医師の時間外労働の上限規制について、下表の3つの類型を設けた。 医療機関は、2024年度までに多くの医師が「A水準」で働けるように取り組む必要があり、B・C水準に該当するような医師がいる医療機関には、「医師労働時間短縮計画」を策定することが義務付けられる。 |
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【宿日直許可基準に関する新たな通知の概要】 | |||||||||
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※厚生労働省通知「医師、看護師等の宿日直許可基準について」より抜粋 | |||||||||
■労働時間に該当しない場合の「医師の自己研鑽」 医師の「自己研鑽」については、院内で学習や研究等をした場合の時間が労働時間に該当するのか判然とせず、業務との明確な切り分けが難しかったが、今回の通知で医師の研鑽について具体的な考え方が示された。 まず、労働時間内において、使用者に指示された勤務場所で研鑽を行う場合は、当然労働時間に該当する。問題は、労働時間外に行う研鑽だが、診療等の本来業務と直接関連性がなく、上司の明示や黙示によらずに行われる場合は、在院して行っても、労働時間に該当しないとされた。 また、研鑽(労働時間ではない)であることを明確化する手続き等については、医師は研鑽を行う旨を上司に申し出て、上司は「本来業務に該当しない」ことや研鑽を開始する時点において「本来業務が終了している」ことを確認するなどの例示が示されるとともに、環境整備については、院内に勤務場所とは別に研鑽を行う場所を設けたり、研鑽を行う場合は白衣を着用しないといった具体例も明記された。 |
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【自己研鑽に関する通知の概要】 | |||||||||
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※厚生労働省通知「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について」より抜粋 |
■医療機関は労務管理の適正化へ B・C水準に該当する医療機関は、「医師労働時間短縮計画」を策定し、PDCAサイクルを回して積極的に労働時間の短縮を図る必要がある。まずは、時間外労働時間の実態を把握し、労務管理を適正化する取り組みが必要だ。 一方、国や都道府県は医療機関を適切に支援することが必要となり、医師労働時間短縮計画などを評価し、指導する「評価機能」と呼ばれる専門組織を新しくを設置する。 詳細については、厚生労働省が「医師の働き方改革に関する検討会」の後継として新しく設置した「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で検討され、年内に一定の取りまとめが行われる予定である。 なお、厚生労働省は、医師の時間外労働やその分布等の実態を詳細に把握するため、8月下旬に全国の医師約14万人に調査票を配付する大規模な勤務実態調査を実施した。この調査は、9月2日から8日までの1週間の労働時間等を詳細に回答するようになっており、調査結果は今後の医師の働き方改革の制度設計の議論に反映されるため、その結果が注目される。 |
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■今後医療界として解決すべき課題 | ||||||||
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医療情報室の目
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