■BCPの定義 |
|
■BCP策定のポイント ●優先業務(止めてはならない/早期に復旧すべき業務)を決定 ●経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の把握・適切な運用 ヒト … 人命の安全確保を最優先事項とする。人員を把握 し、計画を立てる。 モノ … 災害時に必要な物資をリストアップし、優先的に 保全、調達し適切に配置する。 カネ … 災害保険の加入など復旧に必要な資金源を確保 情報 … 情報システムのバックアップ等を日頃から講じる ■「防災マニュアル」とBCPとの違い 防災マニュアルは、主として「災害急性期の初動的な対応を行う ための取り決め事」を整理したものである。それに対し、BCPの カバーする範囲は広く、起こり得る事象に対して事前の点検や準備 をも含めたものであるため、組織に対応策を浸透させる研修、訓練 なども行うことが必要となる(表1) |
災害や集団感染等が発生した場合、傷病者や感染者が著しく増えるため医療機関では、一般的な企業に比べて平時よりもその需要が大幅に増加する。したがって、医療機関においては、たとえ被災した場合でも医療体制を維持・回復し、その機能を直ちに発揮することなどが求められる。また、災害時の医療現場では、予期できない被災患者への対応が迫られる。これは、急性期病院であればなおさらであり、災害拠点病院ではより多くの傷病者に対応できる体制が必要となる。すなわち、医療機関においては一般的な企業以上に、事前の対策が重要となる。 |
|
○医療機関のBCP策定率は低い 2016年の熊本地震の発生を受けて、災害拠点病院にはBCPの策定が義務付けられ、2019年3月までに整備しなければならなくなった。ただ、2013年に内閣府が行った調査では、当時、大企業のBCP策定率は53.6%、中堅企業が25.3%であるのに対し、医療機関の策定率は7.1%と著しく低い結果となっている。その主な要因としては、一般企業の場合はBCPの策定自体が事業提携や契約を結ぶ際の必要事項となることがあるのに対し、医療機関には特に策定義務もなく、コストや労力をかけてまでBCPを策定しようとする機運がなかったためと考えられる。 |
いくつかの医師会や自治体では、医療機関向けにBCP策定ガイドラインを作成し提供している。ここでは、ホームページ上で公開されている浜松市医師会、東京都福祉保健局のガイドラインを紹介するので、是非参考にされたい。 なお、BCPは計画の策定が目的ではない。策定後も、計画を立て(Plan)、実行し(Do)、その結果を検証し(Check)、改良・改善する(Action)という「PDCA」サイクルを繰り返し、常にアップデートしていくことが最も重要であるとされている。 ・浜松市医師会 「医療機関における防災力強化のための事業継続計画(BCP)策定支援プログラム」 (浜松市医師会ホームページ:http://hamamatsu-ishikai.com/docs/disaster/program4.pdf ) ・東京都福祉保健局 「事業継続計画(BCP)ガイドライン」 (東京都福祉保健局ホームページ:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kyuukyuu/saigai/zigyoukeizokukeikaku.html) BCP策定の大まかな手順 @方針の策定 BCPを策定するにあたって、組織のトップによる方針を明らかにする。 A計画の策定 組織のトップによる方針に従い、具体的な業務計画を検討する。 B実施及び運用(実施のための整備) BCPの策定後は、計画の実施に向けた予算を確保し、中長期計画も含めた年次計画の中でBCPに従った取組みを実施する。 C教育・訓練の実施 BCPを実践するためには、全職員にBCPの重要性について共通認識を持たせる。そのためにも、平時からBCPの実施・運用に関する教育・訓練を継続的に行っていく。 D点検・是正 平時から、定期的にBCPの内容を点検し、実施できていない事項を把握して、上層部の方針として是正を行う。 E組織のトップによる方針の見直し 組織のトップは、BCPの取組状況や社会的な状況の変化(災害リスクの増大やライフラインの変化)等に応じ、定期的に方針を見直す。 |
医療情報室の目
★BCPは継続的な訓練と検証こそが必要である
|