○外来・在宅医療で、かかりつけ医機能を強化 今改定の柱の一つである、かかりつけ医機能の強化に関しては、在宅医療の推進をより確実なものとするため、地域包括診療加算等における24時間対応や医師配置基準の要件が緩和されるとともに、これらのかかりつけ医機能に係る診療報酬を届け出ている医療機関については、初診時における評価として「機能強化加算(80点)」が新設された。 また、在宅医療のニーズ増加に対応するための量的整備も図られる。まず、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料については、より多くの患者への診療を促すため、「月1回訪問」の点数を引き上げる一方で、「月2回以上訪問」の評価は一律100点引き下げられた。さらに、在宅療養支援診療所(以下、在支診)を届け出ていない診療所にも在宅医療への参入を促す措置として、「継続診療加算(216点)」等の新しい加算が新設された。(右図参照) ○入院医療は大胆な見直し、新たな評価体系に 入院医療に関しては、将来の入院医療ニーズの変化に弾力的に対応可能とするため、看護配置要件等の基本部分に、診療実績に応じた段階的な評価体系が加わることとなり、さらに、評価区分については、急性期から慢性期までの3つの機能に大別(下表)されるなど、大幅な見直しが行われた。 |
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特に、一般病棟入院基本料の「7対1」と「10対1」は、これまで報酬上のギャップが課題となっていたため、新たに「急性期一般入院基本料(入院料1〜7)」として点数の格差を緩和する一方で、最も点数の高い入院料1の看護必要度等を引き上げるなど、「7対1」からの退出をこれまで以上に促す内容となっている。 ○「地域包括ケア病棟」への期待と自宅等への退院推進 回復期から慢性期を担う地域包括ケア病棟や療養病棟についても、それぞれの機能・役割がこれまで以上に明確にされ、自宅等からの受け入れや在宅復帰を推進するための見直しが行われた。 例えば、地域包括ケア病棟においては、200床未満の中小病院に絞った入院料の導入や、認知症患者の増加に対応するための夜間看護配置加算(55点)が新設される一方、退院時の評価から、療養病棟や老健施設が外されることとなった。 また、療養病棟では、急性期と同じく、入院料が基本部分と実績部分を組み合わせた新たな評価体系となり、基本部分の看護配置要件が「20対1以上」に一本化されるとともに、夜間看護加算(35点)の新設や、在宅復帰機能強化加算、事務作業補助者加算などが引き上げられた。 |
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○遠隔診療の評価の拡充 今改定での目新しい項目としては、「オンライン診療料(70点/月)」が新設された。対面診療が原則の上、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たせば算定できる。ただし、特定疾患療養管理料や地域包括診療料などを算定し、初診から6ヵ月以上経過した患者が対象となっており、3ヵ月に1回は対面診療を行うことなど、かなり限定的な要件が設定されている。この他、対面診療とオンライン診療を組み合わせた療養計画を評価した「オンライン医学管理料(100点/月)」など、オンライン関係の項目が複数新設されているが、いずれも算定要件のハードルはかなり高いため、現時点では、一気に普及は進まないと考えられる。 |
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○国民の希望に応じた看取りの推進 今改定での基本方針では、具体的方向性の一つに「国民の希望に応じた看取りの推進」が盛り込まれた。訪問診療や訪問看護のターミナルケアにかかる評価について、厚生労働省の「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」などを踏まえた対応を要件化し、評価が拡充された。同ガイドラインは、人生の最終段階を迎えた患者や家族と、医師をはじめとする医療従事者が、患者にとって最善の医療とケアを作り上げるための流れを示すもので、患者の意思決定を尊重することを重要視している。(右図参照) |
2018年度の介護報酬改定は、診療報酬との整合性を図りながら、看取りや自立支援・重度化防止を軸として、多くのサービスで医療や看護、リハビリの視点が強化され、また、医療・介護の複合ニーズに対応するサービスとして介護医療院が創設されたことなどが特徴である。サービス種別ごとにメリハリのある内容となっており、医療と介護の連携がより一層推進されることが期待される。ここでは、サービス種別ごとの主な改定内容をまとめてみた。 |
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医療情報室の目
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