消費税導入・増税年 | 上乗せ改定項目(抜粋) | 補填率 |
平成元年 (3%導入時) |
血漿蛋白免疫学検査C反応性蛋 白(定性・定量)など12項目 | 0.76% |
平成9年 (5%引き上げ時) |
入院環境料、生化学的検査(T) 判断料など24項目 | 0.77% |
平成26年 (8%引き上げ時) |
初診料・再診料・入院基本料など基本診療料に集約 | 1.36% |
keyword “ゼロ税率”と“非課税”は何が違うのか |
“非課税”方式では、社会保険診療そのものが消費税の範囲・対象の外にあるため医薬品等の仕入れに掛かった消費税は 控除できない。しかし、いわゆる“ゼロ税率”については、課税としつつも消費税の税率を0%にするため、これまでどおり患者 の負担を生じさせることなく医療機関の仕入れに掛かった消費税の累積額を全て控除できるようになる。すなわち、消費者 (患者)に消費税が課されないという点では同じだが、流通の各段階で課された消費税を控除できるか否かという点で大きく異 なる。 |
方法 | 内容 | 影響と問題点 | ||
税制 による 還付 |
免税制度への転換 ※平成26年度日医要望 |
・社会保険診療にかかる消費税を、輸出取 引と同様の「免税」の取扱いに改める。 |
○事業税への影響 ・現行制度では、社会政策上の配慮から非課税とされているが、ゼロ税率とはいえ、社会保険診療報酬が消費税の課税対象となることにより、事業税の非課税措置等、公益性を根拠とする税制優遇措置に影響が及ぶ可能性が全く無いとは言えない。 ○四段階制(※)への影響 ・小規模医療機関にも消費税の申告が求められることから、影響が及ぶ可能性がある。 ※四段階制・・・社会保険診療報酬が年間5千万円以下である医療法人を対象とした社会保険診療報酬の所得計算の特例措置 ○医療機関の事務負担 ・消費税の申告により、小規模医療機関の事務負担が増加する可能性がある。 |
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課税制度 への転換 |
ゼロ税率による課税制度 ※平成26年度日医要望 |
現在の社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度をゼロ税率による課税制度へ改める。 | ○事業税、四段階制への影響(同上) ○受診抑制 ・実際に患者の負担増はないが、「課税」というイメージから負担増を想起させ、結果、受診抑制につながる可能性あり。 |
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軽減税率による課税制度 (2.89%) ※平成26年度日医要望 |
・現在の社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を軽減税率による課税制度へ改める。 ・軽減税率は、消費税率8%段階の消費税分上乗せ率と同じ2.89%(1.53%+1.36%)。 ・税率については、患者負担の上限として、1.53 %あるいは3.80%とすべきなど様々な意見があ る中で、一例として2.89%と設定した。 ・日医が要望としての税率を決めたものでなない。 |
○事業税への影響「免税制度への転換」に同じ ○四段階制への影響(同上) ○患者等の負担 ・厚生労働省の説明によると、現在は社会保険診療報酬には消費税相当額2.89%(1.53%+1.36%)が上乗せされているので、計算上は、社会保険診療報酬を消費税上乗せ分の2.89%だけ引き下げて、消費税率を2.89%とすれば、患者・被保険者・国民等の負担は現在と変わらない。 ・軽減税率が2.89%(1.53%+1.36%)を超える場合は、患者、保険者(被保険者)、国等の負担が増加する。 ○受診抑制(同上) ・税率が2.89%超の場合は、患者の負担増加により、受診抑制につながる。 ・将来の税率引上げによる負担増の可能性あり。 |
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普通税率+患者への全額還付 | ・現在の社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を普通税率による課税制度へ改め、かつ患者に対してかかった消費税を窓口で即時全額還付する。 | ○事業税、四段階制への影響(同上) ○患者等の負担 ・保険者(被保険者)の負担が増加する。 |
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普通税率+医療保険制度における患者負担割合を現行の1/3に変更 | ・現在の社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を普通税率による課税制度へ改め、かつ医療保険制度における患者負担割合を現行の1/3に変更。 ・患者負担の減少分は、現行の財源構成比に応じ、国・地方・保険料の負担増で賄う。 |
○事業税、四段階制への影響及び患者等の負担(同上) ○受診抑制 ・将来の税率引上げによる負担増の可能性あり。 |
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非課税のまま還付 | 非課税のまま税制による全額還付方式(実質的ゼロ税率) | ・現在の社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を維持しつつ、仕入税額の全額控除を認める。 | ○四段階制への影響(同上) | |
非課税のまま税制による一部(84%)還付方式 (カナダのPSB方式を参考にした例) |
・現在の社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度を維持しつつ、負担軽減策として、仕入税額の84%の還付を特例として認める。 ・現行制度(消費税率8%)における消費税負担(いわゆる損税)の水準(0.74%)とほぼ同等になるように、還付割合を84%に設定した。 |
○四段階制への影響(同上) ○受診抑制 ・将来の税率引上げによる負担増の可能性あり。 ○医療機関の消費税負担 ・医療機関の消費税負担が一部残るが、現行制度でも建前上は「適切に上乗せされている」のに対して、制度上も一部負担が前提とされることは、後退ではないか。 ・一部負担を合理的に理屈付けすることは困難。 ・将来の税率引上げで自動的に負担増。 ・還付率が84%より小さくなると現状よりも大きな消費税負担が生じる |
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予算 (医療保険 制度による 還付) |
非課税のまま医療保険制度による全額還付方式 (「消費税調整係数」を用いた方式の例) |
・DPC調整係数と類似した仕組みで、実際の仕入税額を計算して支払基金等に申告し、全額還付を受ける。 ・「消費税調整係数」に係る財源はすべて公費(国・地方)。 ・財源は消費税収の構成割合で按分。 |
○四段階制への影響 ・小規模医療機関にも、還付を受けるために、消費税の計算が求められることから、影響が及ぶ可能性がある。 ○医療機関の事務負担 ・還付を受けるため、病院も含めたすべての医療機関が、消費税の申告とは別に、消費税負担額を計算・申請する必要があり、医療機関の事務負担が増加する可能性がある。 |
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非課税のまま医療保険制度による一部(84%)還付方式 | ・カナダのPSB方式(※)を参考としつつ、還付申告の窓口は税務署ではなく支払基金等とするもので、実際の仕入税額を計算して支払基金等に申告し、仕入税額の84%の還付を受ける。 ・財源は医療保険制度内予算で確保。 ・現行制度(消費税率8%)における消費税負担(いわゆる損税)の水準(0.74%)とほぼ同等になるように、還付割合を84%に設定した。 |
○四段階制への影響(同上) ○医療機関の事務負担(同上) ○医療機関の消費税負担 ・医療機関の消費税負担が一部残るが、現行制度でも建前上は「適切に上乗せされている」のに対して、制度上も一部負担が前提とされることは、後退ではないか。 ・一部負担を合理的に理屈付けすることは困難。 ・将来の税率引上げで自動的に負担増。 ・還付率が84%より小さくなると現状よりも大きな消費税負担が生じる。 ○患者等の負担 ・患者、保険者(被保険者)の負担が、消費税率に応じて増加する仕組みはそのまま。 ※PSB方式・・・公共のサービス機関(学校、病院など)に対して、仕入れにかかる消費税の合計額に、各州、業種によって異なるが、一定の還付率を乗じた金額を還付可能にする方式である。 |
医療情報室の目
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