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経済産業省は、わが国においてこれまで医療の国際化への取り組みが十分行われなかった背景を踏まえ、2010年に医療機関9施設の協力を得て、24名の外国人顧客に対し、健診サービスの提供等を通じた実証調査を行った。その調査報告書によると、わが国における医療ツーリズムの発展のためには、医療機関側の受入体制の整備(外国人向け健診・治療サービスの開発・提供、異なる言語・文化・生活習慣等へのハード・ソフト面での対応等)、参加医療機関の拡大、契約書や各種文書の標準化、海外医療機関との連携などの方策の検討、外国人顧客・外国人スタッフの受入を阻害する法制度・規制等の見直し検討などについて、国や医療業界が主体となって推進していく必要があるとしている。また、医療ツーリズム関連分野における産業の育成として、海外における日本の医療に対する認知度向上に向けた取組の支援、医療通訳・翻訳のレベル認定等の環境整備を行っていくことが求められるとしている。 |
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日本において一般的に認識されている医療ツーリズムとは、外国人患者を国内に呼び込み治療(健診)を行うことを指している。一方、日本から外国へ「日本式の医療提供体制」を輸出する方法もあり、前述の患者受け入れ型が「インバウンド」と呼ばれるのに対し、後者は「アウトバウンド」と呼ばれている。今年7月には、経済産業省が「日本の医療サービスの海外展開に関する調査事業」の採択事業者名を発表するなどアウトバウンドに向けた動きも進んでいる。生活習慣や医療制度が全く違う国での日本式運営やサービスのノウハウの受け入れは非常に困難であるとみられているが、成功した暁には日本の医療に対する国際的な認知度を高め、国内医療産業の市場拡大に繋がる可能性もあると期待されている。 |