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去る2月2日、日本医師会主催の医療政策シンポジウムが「国民皆保険50周年〜その未来に向けて」をテーマに日医大講堂にて開催された。今回は、「韓国医療の光と影」と題し韓国医師会名誉会長である文太俊氏の特別講演が行われ、「低保険料・低給付・低報酬」の構造で成り立っている韓国では、いわゆる“混合診療”が保険制度導入の初期から認められており、患者の自己負担率が高く、健康保険の保障率が低いこと等が紹介された。また、二木立氏(日本福祉大教授・副学長)や権丈善一氏(慶応大教授)らによる講演、パネルディスカッションが行われ、我が国の長期的・安定的医療の確保には、景気に左右されやすい税財源に頼るのではなく、社会保険料を主財源とすることが望ましい等の見解が示された。
<平成22年度医療政策シンポジウム(日本医師会HP内)>
http://www.med.or.jp/nichikara/22issympo/
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〜合理的期待形成仮説〜
『合理的期待形成仮説』とは、1970年代末、アメリカの経済学者ルーカスやサージェントなどにより主張された経済学における理論です。この理論では、人々の経済行動は将来に対する“期待”に大きく依存していると言え、あらゆる情報を効率的に利用して合理的な未来予測(期待形成)を行えば、それは平均的・系統的にみて誤った事態に向かうことはないため、裁量的な金融・財政政策が行われたとしてもなんら影響を与えないとしています。たとえば政府が裁量的経済政策を行ったとしても、人々は後にその政策に応じた増税等を予測し、実質的な利潤や労働賃金はかわらないことを見通すため、企業は投資を控え、労働者も消費意欲を刺激されることはなく、結果、政策は効果を発揮しないとするものです。
しかしながら、現代の複雑な経済状況において、すべての人が等しく情報を共有するとは考えにくいため、この理論は基礎前提そのものが成立しないとの批判もあります。ただし、いままで概念としてしか取り扱われていなかった“期待形成”の問題を積極的に経済理論に組み込んだ点は高く評価されています。
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