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現在、少なくとも30ヵ国の国々が海外からのメディカルツーリストの受け入れに応じており、毎年100万人を超える患者が海外へ渡航し他国の医療機関で医療(治療)を受けていると言われている。メディカルツーリズムによる世界市場規模は現在約200億ドル(1兆8,000億円)で4年後には400億ドル(3兆6,000億円)に上ると試算されている。 |
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例えば、腹のたるみを取る手術でブラジル、心臓弁置換術でタイ、股関節置換術でインド、不妊症の診断・治療で南アフリカ、歯の修復でメキシコ等、アジア諸国を中心にメディカルツーリストが世界各国へ渡航している。(※表-1参照)ドバイやフィリピン等は、国全体がメディカルツアーセンターになりつつある。 |
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最近では、メディカルツアーを企画する旅行会社やメディカルツアー・プランナーが個人に合わせて良質のプランを組んでくれる。また、海外の医療機関やメディカルツアー業者には医療(治療)費やツアー料金をローンで支払ったり、後払いできるところもある。 |
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メディカルツーリズムは、通訳・宗教・習慣に関するサービスの充実や渡航先の政情安定等を前提として、安価な・質の高い医療(治療)を受けたい、時間・物理的アクセス制限を打破したいという患者の欲求が、海外に渡航し医療(治療)を受けるという距
離的アクセス制限を上回った時に起きる。(※裏面の表-2参照) |
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アメリカでは、コスト削減を目的にマネジドケアがメディカルツーリズムを推奨するケースが増えている。その為、アジア諸国はマネジドケアの保険適用医療機関の基準とする医療機関認証組織JCI(Joint Commission International)の認証を受ける医療機関が増加している。また民間医療保険のプランの中にメディカルツーリズムを組み、場合によっては渡航費用を支給する保険会社もある。アメリカ医師会は、海外へのメディカル・トラベルのガイドラインを作成しており、大手保険会社はそれを参考にして給付対象を決定することもある。 |
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医療制度・保険等により事情は異なるが、アメリカ等の医療(治療)費が高い国や美容形成手術、視力矯正、不妊・生殖補助医療等、自国の医療保険でカバーされない医療(治療)は、滞在の為の交通費・宿泊費・食事代を含めても自国より海外に渡航して医療(治療)を受ける方が費用が節約できることが多い。(※表-3参照)尚、我が国においては、国民皆保険や高額医療の制度が整備されている為、医療(治療)が他国と比較して安価になることが多く、海外に渡航しての医療(治療)に経済的なメリットが少ない。 |
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医療(治療)内容・設備・機器はもとより、空港までの送迎、豪華な特別個室・食事、各国の母国語に対応したサービスデスク、ケア付き療養リゾート、同伴者用の食事・宿泊の割引等の患者サービスが整っている。 |
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イギリス、カナダでは医療制度のシステムにより検査や手術までの待機時間が長いことが社会問題になっているが、海外に渡航し治療(医療)を受ければこの問題は解消される。また、自国で未承認の手術や新薬を使用した医療(治療)を受けることができる。 |
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現在、メディカルツーリズムを国策で推進しているのはタイやシンガポール等のG7以外の国である。こうした国々にメディカルツーリストとして訪れる患者は、医療(治療)費の高いアメリカや9.11テロ事件以降アメリカへの入国が難しくなっている中東の富裕層が大部分を占めている。 |