医療情報室レポート |
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bP12
2007年 9月 28日
福岡市医師会医療情報室
TEL852-1501・FAX852-1510
特集:政党の医療マニフェスト
〜第21回参議院選挙を巡って〜
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7月29日に投開票が行われた第21回参議院選挙で、自民党は、医師不足問題への対応を社会保障分野での最大の争点とする姿勢を示していたが、「消えた年金記録」問題の発覚で状況が一変し、医師不足問題に対する国民の関心も急速に低下した。 その結果、医療関係団体推薦の候補者は軒並み落選、与党の自民党が大敗し、日本医師連盟推薦の比例代表候補武見敬三氏も次点で当選を逃した。自民大敗・武見票が伸びなかった背景として、閣僚の不適切発言・事務所費問題などのスキャンダルで自民党に逆風が吹いたこと、小泉内閣時代に診療報酬引き下げを繰り返した自民党への日医会員の反発もあり、日医連が統一歩調で戦えなかったことなどが上げられている。 9月12日に、安倍総理は局面を打開するためとして辞任を表明したが、タイミングを失した唐突感は否めず、政局の混迷に拍車をかける結果となった。 今回は、二大政党制が大きくクローズアップされることとなった第21回参議院選挙における各政党の医療マニフェストを取り上げる。 |
●各政党のマニフェスト |
(各政党のマニフェスト・政策リストより医療に関する主な内容を抜粋) |
自民党 | 民主党 | 公明党 | 社民党 | 共産党 | 国民新党 | |
医療制度改革 | 新たな高齢者医療制度の創設など、 超高齢化社会を展望した医療保険制度体系の見直し 地域における地域医療連携体制の構築など、質の高い医療サービスが適切に受けられる体制を整備 介護保険制度の着実な実施での老後不安の解消 |
介護報酬を見直し、財政が厳しい状況でも、 必要なサービスは引き続き受けられる介護基盤を整備 70歳以上の自己負担を1割、現役並所得者は自己負担を2割にする 真に医療を必要とする患者の食費・居住費に医療保険を適用する 保険料を賦課する報酬の上限を上げ、下限を下げ、医療費給付費に占める公費の割合を高める |
医療や介護に係る自己負担を家族で合算し、負担が高額な場合に軽減を図る新たな高額療養費制度の実施 |
医療費抑制政策を転換し患者の受益権を守る |
小学校就学前の子どもの医療費を所得制限 なしで無料化する制度の確立 |
安定的な医療サービスを維持向上させるため、医療費をOECD加盟国の平均水準(GDP比8.3%)まで引き上げるとともに、高齢者医療制度の充実を図る |
医師不足対策 | 緊急臨時的医師派遣システムを通じた緊急医師団の派遣 医師不足の地域・診療科で勤務する医師の養成 研修医の都市への集中を是正するため臨床研修病院の定員を見直す 病院勤務医の過重労働を解消するための勤務環境を整備 女性医師が働きやすい職場環境の整備 |
緊急行動計画を策定し、医師・看護師などの配置 を適正化し、医師不足を解消 院内保育所の整備や復職のための研修などで女性の医師・看護師などが仕事を続けやすく復職しやすい環境を整備 10%削減された医学部定員を元に戻し、医療圏ごとの数値目標を提示 | 医師がたくさんいる拠点病院から不足地域に、 国の責任の下で医師を派遣 |
医師の地方勤務を評価する制度を創設 |
先進国で最低レベルになっている医師数の抜本増、勤務医の労働条件の改善、産科・小児科確保に対する公的支援、診療報酬の改革 |
山間僻地・離島における診療体制の充実強化 |
医療事故対策 | 安全・安心な医療の確保や不幸な事故の再発防止に資するため、医療事故の原因調査などの仕組みを創設 |
真相の究明、医療側の誠実な対応、事故の再発防止を実現するため、@「医療メディエータ」の養成、A「裁判外紛争処理機関」の設置、 B「医療安全委員会」の設置−の3点を提案し、有機的に機能するよう立法措置を講じる 医療事故調査制度や医療機関の評価制度の確立 | 「医療基準監督局」を設置し、事故報告の義務化や安全指導を行う |
出産事故に関する国家補償制度を創設 |
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がん対策 |
がん対策推進基本計画に基づき、放射線治療や緩和ケアなどを充実させる |
がん対策推進基本計画の策定を通じて、すべての地域で、最善のがん治療や最新のがん情報が受けられる体制を作る | 放射線治療の普及とともに放射線療法・抗がん剤療法の専門医を育成 |
がん治療水準の向上と均てん化に取り組む |
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救急医療 | 病院や開業医すべての医療関係者の参加の下で、小児救急医療体制をはじめとする救急医療体制の充実 |
産科や小児科をはじめ、急な事態に最良の処置を受けられるよう救急医療制度を改革 地域医療支援病院は救命救急センターの機能を併置し、ヘリコプターによる患者搬送が可能な施設を設置 ドクターカーをすべての救命救急センターに配置、消防防災ヘリを高規格化してドクターヘリのように活用する ドクターヘリを救急本部毎に一機以上配備 | ドクターヘリを全国に配備する(2010年をめどに47都道府県に50機の配備を目指す) |
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その他医療関係 | 「メタボリックシンドローム克服」や「がん克服」など、健康寿命を延ばし、生涯現役で充実した人生を送るための施策を進める 肝炎の早期発見、早期治療、治療水準の向上を図るため、検査体制の充実、安心して受診できる医療の確保など総合的な肝炎対策に取り組む 抗インフルエンザ薬やワクチンの確保など、新型インフルエンザへの対応を講じる 予防接種の励行や発生状況の監視、必要なワクチンの確保などを通じて、はしか等の集団発生や感染拡大の防止に努める 医薬品・医療機器の研究開発から販売・使用に至るまでの一貫した施策の推進 |
介護給付・訓練等給付に対する定率1割負担を凍結し、支援費制度と同様、応能負担に戻して、障がい児・者福祉サービスを維持 現行の出産一時金に加え国庫を財源として、出生児一人あたり20万円の助成金を給付 良質なチーム医療の実現のため、各学会等の認定資格制度等を活用しつつ、看護師や薬剤師などの専門教育を支援 医療情報の患者本人等への開示や説明体制の拡充 診療費明細書の発行義務化、医療に関する相談支援センターの設置 医療機関を専門別・機能別に区分して配置し、効率性を高め、地域完結型のネットワークを構築 技術・労働時間・人員配置を適切に評価した診療報酬制度に改革するとともに、包括払い制では不採算とされる救急・小児医療の補助 医療保険制度の再編成、患者窓口負担の包括払い制度の推進、後発医薬品の普及を推奨 | 女性専門外来の全都道府県での開設を目指す |
特別会計改革を進め、年間6.5兆円以上捻出し社会保障の財源とする |
1人1万円の国保料(税)値下げを行い保険証の取り上げをやめさせる |
<医療情報室の目> | |||
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(事務局担当 工藤 TEL852-1501 FAX852-1510)
担当理事 原 祐 一(広報担当)・原 村 耕 治(地域ケア担当)