医療情報室レポート |
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2005年 9月 30日
福岡市医師会医療情報室
TEL852-1501・FAX852-1510
特集:介護保険と医療保険
本年6月に介護保険法などの一部を改正する法律が成立し、10月からは利用者の居住費・食費は保険給付の対象外となった。改正の理由として国は持続可能な介護保険制度の構築、在宅と施設の不均衡是正、年金給付との調整などを挙げている。 |
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医療保険 |
★医療制度改革・診療報酬改定の方向性 |
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1.長期入院者の食費・居住費負担 |
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○ | 厚生労働省は療養病床に長期入院している人の食費や居住費を医療保険の給付対象外とし、患者の自己負担とする方針を固めている。 来年の通常国会に提出予定の医療制度改革関連法案に盛り込み、早ければ来年実施を目指す。 |
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2.高齢者医療制度 |
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○ | 厚生労働省は医療制度改革にて創設が検討されている75歳以上の後期高齢者を対象とした新医療保険制度で、運営主体を市町村とする方向で政府・与党内の調整に入っている。 赤字問題を抱える国民健康保険を運営している市町村側の反対を踏まえ、再編・統合による財政基盤の強化を促し、国と都道府県、市町村で費用を分担する財政支援制度の整備も検討していく。 |
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○ | 厚生労働省は高齢者の医療費抑制を目的として一定以上の所得がある70歳以上の高齢者について、現行2割の自己負担を3割負担に引き上げる方針。 |
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3.薬価制度改革 |
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○ | 厚生労働省は薬価制度の改正に着手。薬剤比率引き下げを目的として「後発医薬品」の普及、「外国平均価格調整」の見直しなど。市場薬価調査を現行の2年に1回から年間2回程度に増やし、公定価格に市場価格を反映しやすくする。 |
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4.高額療養費の見直し |
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○ | 現行の高額療養費制度は、月の医療費が基準額を超えると、患者は負担上限額に加えて超過分の医療費の1%を負担している。改定案では負担上限額や定率負担の引き上げを検討。 |
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5.「総額管理」導入の浮上 |
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○ | 財務相は衆議院選挙前に閣議了承した概算要求基準を超えて医療費の抑制に踏み込む意向を示している。経済成長率に連動させて医療費の伸び率に一定の上限を設ける「総額管理」の導入論が浮上する可能性がある。 |
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6.診療報酬2〜5%引き下げ? |
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○ | 政府は首相の意向により、診療報酬全体を引き下げる方針。 首相が近く、経済財政諮問会議にて関係閣僚に指示、全体の引き下げ幅を2〜5%とする方向。 |
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7.診療報酬改訂の方向性 |
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○ | 厚生労働省は社会保障審議会医療保険部会に診療報酬改訂の検討課題として次の項目を提示するとみられる。 |
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@医療技術の適正評価 | |||||||
・ | 手術の症例数と診療実績が相関しないとの調査を基に適切な評価。 | ||||||
・ | 生活習慣病の重症化予防の観点から、入院早期から患者の栄養管理を行うチーム医療に対する評価。 |
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A医療機関のコストなどの適切な反映 | |||||||
・ | 入院時の食費、医療安全、IT化のコストの実態を踏まえた検討。 | ||||||
・ | 急性期医療 | ・・・ | DPC適用拡大を通じた効率化。 | ||||
・ | 慢性期医療 | ・・・ | 患者の状態像に応じた評価、介護保険との役割分担。 | ||||
・ | 在宅医療 | ・・・ | 高齢者が住み慣れた地域で療養生活を送れるよう他職種と連携した体制づくり。 医師や看護師などの医療関係者とケアマネージャーなど介護スタッフが連携し「在宅医療チーム」の体制を構築する方針。診療報酬加算として「地域連携パス加算」(仮称)を盛り込む考え。 |
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B患者の視点の重視 | |||||||
Cその他 |
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○ | 病院と診療所の医療機能分化 |
・・・ | 初診料・再診料が病院より診療所の方が高い現状が、診療所の外来機能を推進する効果が期待できないとの視点に基づき検討。 |
<医療情報室の目> | |
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