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2005年 5月 27日
福岡市医師会医療情報室
TEL852-1501・FAX852-1510
特集:介護保険 −その9−
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介護保険法改正案が5月10日、衆議院で可決し、現在参議院にて審議中である。改正の柱となるのは新たな介護予防システムの確立である。
要支援などの軽度者への給付内容、介護予防の観点から見直した「新予防給付」の創設、要支援へ陥る恐れのある高齢者を対象とした「地域支援事業」の創設などが主な改正内容となっている。
前回の特集(医療情報室レポートNo81)では改正全体の概要及び時期等について紹介したが、今回は各項目の内容から懸念される問題点などについてまとめてみた。
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★法案修正内容 |
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@ |
地域支援事業における「権利擁護事業」を市町村の必須事業とする。 |
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→ 高齢者の虐待防止など |
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A |
予防給付と地域支援事業について、施行後、3年を目処に費用対効果等の観点から検討を行い、必要な措置を講じる。 |
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※ |
被保険者・受給者の拡大については、「2006年度末までに結論を得られるよう検討の場を新たに設け、範囲拡大も含めて検討を行う」ことを附帯決議に規定するに留まっている。 |
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○ |
公正・中立な立場から、地域における@総合相談・支援、A介護予防マネジメント、B包括的・継続的マネジメントを担う中核機関として、「地域包括支援センター」が創設される。
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☆ |
(予防給付の)「対象者の決定について、介護認定審査会において、現行の要介護状態区分の審査に加え、高齢者の「状態の維持・改善可能性」の観点を踏まえた明確な基準に基づく審査を行い、その結果を踏まえ、市町村が決定する。」
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★新予防給付の創設
○ |
要介護状態などの軽減、悪化防止に効果的な軽度対象者を新たな予防給付を創設。
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既存サービス |
→
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生活機能の維持・向上の観点から内容・提供方法・提供機関などを見直し
(訪問介護、通所介護、通所リハ、福祉用具貸与、訪問看護 等)
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新サービス |
→
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効果が的確なサービスについてモデル事業などを踏まえ導入
(筋力向上、栄養改善、口腔機能向上 等)
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○ |
介護保険3施設(ショートステイ含む)において平成17年10月より居住費・食費が保険給付対象外となる。
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○ |
低所得者への配慮として、負担軽減を図る観点から新たな補足的給付が創設される。
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○ |
介護保険制度には制度開始当初から営利法人の参入が認められているが、指定取消の内、6割超を営利法人が占めている。
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不採算部門からの撤退や患者の選別、機能低下を助長するような過剰なサービス提供等、利益の追求が介護保険制度財政を圧迫する要因となっている。
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<医療情報室の目> |
★介護保険制度改正の目的
介護保険制度は、制度開始当初から要介護認定者数及び保険給付の総費用が二倍近くに膨らんでおり、財政は非常に厳しい状況にある。このような状況を踏まえた上で今回の改正案は、財政的見地に基づいた内容であることは否めない。
改正内容には懸念される点は多く残されている。今回特集で指摘した以外にも、保険によるヘルパーの家事援助が打ち切られること(衆院の答弁の中で厚労省は家事援助の一律打ち切りは否定)や、先送りされた保険料徴収年齢の引き下げの問題が残されている。
しかし、何よりも不安を最も感じるのは利用者であろう。制度改正が財政の為であってはならない。本当に介護を必要とする利用者が不利にならないような制度の運用が大切である。
現在、参議院にて法案は審議中であるが、利用者の不安を解消するよう更なる議論を要望したい。
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※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
(事務局担当 立石 TEL852-1501 FAX852-1510)
担当理事 津 田 泰 夫(広報担当)・入 江 尚(情報担当)・大 木 實(渉外担当)・原 村 耕 治(地域ケア担当)
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