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2005年 3月25日
福岡市医師会医療情報室
TEL852-1501・FAX852-1510
特集:個人情報保護法 −その4−
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個人情報保護法が4月1日より施行される。日本医師会では、去る3月15日に冊子「医療機関における個人情報の保護」をまとめ、会員向けに配布したところである。
個人情報保護法では医療機関の義務として、患者に対する利用目的の特定や、情報の「安全管理措置」が求められ、同冊子では医療機関としての取り組みがまとめられている。
今回のレポートでは同冊子を踏まえ、医療機関における個人情報の取り扱いについて、施行前のチェックリストなどとしてまとめてみた。
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○ |
患者が初診として医療機関を訪れたら、通常はまず氏名、住所、電話番号、健康保険証に関する事項などを初診受付用紙やカードなどに記入してもらう。即ちこの段階で既に個人情報の取得が始まる為、医療機関としてはまず、取得する情報の「利用目的」を特定する必要がある。
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医療機関で通常想定される個人情報の利用目的 |
患
者
へ
の
医
療
に
直
接
関
係
す
る
利
用
目
的 |
院
内
で
の
利
用 |
・ |
患者等に提供する医療サービス |
・ |
医療保険事務 |
・ |
患者に係る管理運営業務の内、 |
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− |
入退院等の病棟管理 |
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− |
会計・経理 |
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− |
医療事故等の内部的報告 |
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− |
当該患者の医療サービスの向上 |
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院
外
へ
の
情
報
提
供 |
・ |
患者等に提供する医療サービスのうち、 |
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− |
他の病院、診療所、助産所、薬局、訪問看護ステーション、介護サービス事業者等との連携 |
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− |
他の医療機関等からの照会への回答 |
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− |
患者の診療等に当たり、外部の医師等の意見・助言を求める場合 |
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− |
検体検査業務の委託その他の業務委託 |
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− |
家族等への病状説明 |
・ |
医療保険事務のうち、 |
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− |
保険事務の委託 |
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− |
審査支払機関へのレセプトの提出 |
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− |
審査支払機関又は保険者からの照会への回答 |
・ |
企業等からの委託を受けて健康診断等を行った場合における、企業等への診断結果の通知 |
・ |
医師賠償責任保険などに係る、医療に関する専門の団体、保険会社等への相談又は届出等 |
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そ
の
他 |
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・ |
医療機関等の管理運営業務のうち、 |
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− |
医療・介護サービスや業務の維持・改善のための基礎資料 |
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− |
医療機関等の内部において行われる学生の実習への協力 |
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− |
医療機関等の内部において行われる症例研究 |
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− |
外部監査機関への情報提供 |
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○ |
医療機関として取り組む必要がある主な項目を「医療機関における個人情報の保護」からまとめてみた。
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医療機関として取り組むべき主な項目(概要) |
個人情報保護法と取り組み内容 |
主な具体例 |
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利用目的の本人への通知(法18条) |
患者への利用目的の設定・公表・通知 |
院内掲示やリーフレットなどによる公表・通知 |
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偽りその他不正の手段を用いてはいけない
(法17条) |
情報取得の際の注意事項の設定 |
院内規則の設定等 |
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個人データの内容は正確かつ最新のものに保つよう努めること(法19条) |
情報管理体制の整備 |
院内規則の設定等 |
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安全管理措置(法20条) |
個人情報が漏洩したり滅失することのないような安全管理措置 |
院内規則の設定等 |
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個人情報取扱責任者を設定 |
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問題・報告を1箇所に集約できる体制 |
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アナログ情報(紙の記録)の管理 |
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デジタル情報(コンピュータの記録)の管理 |
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診療中における情報管理 |
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休診時における情報管理 |
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従業者の監督(法21条) |
従業員と誓約書を交わす |
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委託先の監督(法22条) |
外部委託業者と確認書を交わす |
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第三者提供の制限(法23条) |
第三者提供に関する院内規則の設定等 |
院内掲示やリーフレットなどによる公表・通知 |
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開示・訂正請求等への体制 |
開示の求めに応じる義務(法26条)
訂正等の求めに応じる義務(法27条)
利用停止等の求めに応じる義務(法28条)
苦情処理の体制を整備するよう努める義務
(法32条) |
請求受付窓口又は部署の特定と体制整備 |
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申請書式の整備 |
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医療機関からの回答書式の整備 |
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請求受付から開示までの院内規則制定 |
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苦情受付体制の整備及び周知方法の徹底 |
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※院内掲示や開示・請求など書式の見本は日医冊子「医療機関における個人情報の保護」に掲載 |
<医療情報室の目> |
★必要な取り組み
今回の内容は個人情報保護法施行を目前に控え、日医冊子「医療機関における個人情報の保護」から、まず必要と思われる主な項目のみを抜粋しているので、医療機関各位においては、詳細については冊子等を参考に最終的な確認をされたい。
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★レセプトの取り扱い
社会保険庁は政府管掌健康保険事業運営懇談会(3/11)にて、患者本人が政管健保のレセプト開示を請求した場合には、保険者の判断で原則開示するなどとした変更案を提示している。4月からの「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」の施行により、社会保険庁が保険者として持っているレセプトについても行政文書に位置付けられ、本人から開示請求があれば原則開示することになる。
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※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
(事務局担当 立石 TEL852-1501 FAX852-1510)
担当理事 津 田 泰 夫(広報担当)・入 江 尚(情報担当)・大 木 實(渉外担当)・原 村 耕 治(地域ケア担当)
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