医療情報室レポート
 

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2004年12月24日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1501・FAX852-1510 

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特集:平成16年をふりかえって

平成16年は災害に見舞われた1年であった。今年は鳥インフルエンザで明け、夏の猛暑や相次ぐ台風の上陸は記録を更新した。そして秋の新潟県中越地震の発生。日本各地は大きな被害を被った年となった。
1年を通して暗い話題が続く中、アテネ五輪での日本勢の活躍や大リーグイチロー選手の安打記録更新など光明がさす話題もあった。
医療を取り巻く環境では、新医師臨床研修制度や国立病院の法人化など新たな制度が始まった。また、年末まで続けられた混合診療の問題については決着がついたものの、改革案の具体化は来年以降に持ち越され、今後の動向に注目していく必要がある。
今回は年末特集として、今年1年間の出来事を纏め“平成16年をふりかえって”みた。
  

医師会関係 厚生行政関係 主な出来事
1月
市医役員選挙、次期会長に樋口正士
会員(南区)を選出
2003年人口動態推計の年間推計発表、
出生数(112万1000人)3年連続過去最低
厚労省「介護制度改革本部」設置
鳥インフルエンザ、アジア各国で感染
拡大、国内でもウィルス検出
自衛隊イラクへの派遣開始
大阪で中3長男に食事を与ず虐待、意
識不明に陥らせた実父と同居女逮捕
NASAの無人探査車「スピリット」
火星着陸に成功
2月
十三大都市医師会、日医会長選立候補
4氏招き東京で所信演説会
県医役員選挙、次期会長に竹嶋康弘
会員を選出
中医協2004年度診療報酬改訂案答申
改定率診療報酬本体±0%、初診料引上
げ、小児・精神の評価、手術施設基準見
直しなど
イラク復興支援特別措置法に基づく自
衛隊派遣の承認案件が承認
北朝鮮への経済制裁を可能にする改正
外為法成立
神戸の産婦人科で着床前診断3例実施し
ていたことが判明
ヤフーBB460万人分顧客情報入手、恐喝
未遂容疑で会社役員3人逮捕
3月
日医「医師の職業倫理指針」公表
日医 一般診療科向き自殺予防マニュアル
発刊
厚労省、介護保険と障害者施策の統合
議論開始
総務省、病院・有床診療所への重大医療
事故報告義務付勧告
規制改革・民間開放推進3か年計画閣議決定
一般会計総額82兆1109億円の04年度
予算案成立、厚労省分は20兆1910億円
産業再生機構がカネボウ支援
韓国野党、盧武鉉大統領弾劾発議
スペイン・マドリード3駅で列車を標
的にした同時爆破テロ
ブレア英首相、リビアカダフィ大佐と
会談、リビア国際的孤立脱却へ
東京・六本木ヒルズ自動回転扉に男児
が頭挟まれ死亡
4月
日医役員選挙、次期会長に植松治雄
会員を選出
植松会長、所信表明で社会保障の理念
と国民皆保険の堅持を基本方針に
新医師臨床研修制度開始
規制改革・民間開放推進会議発足、混合
診療、株式会社参入解禁検討
財政審、医療・年金・介護を総合的に
検討する「社会保障個人勘定」提案
医師国家試験合格者発表、合格者7457
人、合格率88.4%、女子の割合33.8%
消費税総額表示の義務化
国公立大学・病院の法人化
イラク武装グループによる日本人拉致事件
診療報酬改訂めぐり日歯臼田会長、健
保連下村副会長ら贈賄で逮捕
北朝鮮北西部で貨車爆発
閣僚など国民年金未納発覚
米軍イラク人捕虜虐待
5月
日医H16年度診療報酬改訂Q&A作成
植松会長、各地区医師会連合総会で
混合診療解禁反対を表明
厚労省、06年度から介護事業者の情報
開示義務化へ
改正特区法成立、特区内の自由診療で
高度医療について株式会社医療経営解禁
過重労働・メンタルヘルス対策の在り
方に係る検討会設置
UFJ信託銀行、住友信託銀行に売却
重大刑事裁判に国民参加義務付裁判員
法成立、09年から
小泉首相北朝鮮訪問、金正日総書記と
会談、拉致被害者の家族帰国実現
6月
日医治験センター 実施概要公表・受託
者募集開始
日医、官製市場民間開放委との討論
混合診療問題対案表明
日医プレネイタルビジット事業Q&A作成
市医セキュアネットワークシステム
(SeFu)構築
年金改革法成立
骨太方針04閣議決定、規制改革や社会
保障制度の総合的改革など
中医協3ヶ月ぶり再開、改革議論へ
04年版厚生労働白書「現代生活を取り
巻く健康リスク」提言
長崎県佐世保市の小学校で小6女児が
同級生女児にカッターで首等切られ死亡
日本道路公団など道路4公団の民営化
関連4法成立
三菱自動車、三菱ふそうトラック・バス
リコール隠し問題
有事関連7法案成立
7月
第36回九州地区医師会立共同利用施設
連絡協議会が宮崎市で開催
市医学校保健事業周年記念
第20回参院選、医師連盟推薦西島英利
候補当選
03年平均寿命男性78.36歳、女性85.33
歳で、男女とも過去最高
「老人保健事業の見直しに関する検討
会」新高齢者医療制度の創設、介護保
険見直しなど検討開始
「介護保険制度見直しに関する報告書」
で予防重視型システムへの転換
社会保険庁改革概要公表
北朝鮮拉致被害者曽我ひとみさんが
夫ジェンキンスさん、娘2人と再会
第20回参院選、自民党49議席、民主党
は50議席獲得
日歯連1億円橋本元首相献金判明
NHK番組制作費不正支出問題
関東甲信地方で記録的猛暑
8月
日医05年度税制改正要望で、損税問題
改正要望の方針
日医05年度予算概算要求に向け診療
報酬財源の確保など厚労省へ要望
第35回中四九地区医師会看護学校協議会
が佐賀市で開催
「2002年度国民医療費の概況」発表、
国民医療費31兆1240億円で前年比0.6%減
政管健保03年度単年度収支決算704億円
黒字、11年ぶり黒字決算
三位一体改革で地方6団体厚労省所管
補助金9500億円削減案
厚労省2005年予算概算要求、前年度予
算比5.3%増、21兆2673億円
アテネ五輪開幕 日本勢活躍、金メダル
東京五輪と並ぶ最多16、メダル総数最多37
郵政民営化の基本方針、郵便貯金、簡
易保険など4事業分社化
日朝実務者協議北京で開催 拉致被害者
10人安否情報なし
台風15、16号被害
9月
日医、医師再教育制度発足の方針
日医、地方6団体の三位一体改革案に
抗議申入れ
第41回九州首市医師会連絡協議会が
大分市で開催
福岡市急患診療事業30周年記念
市医訪問看護ステーション・在介センター10周年記念
小泉首相、経済財政諮問会議で混合診療
解禁の方向指示
規制改革推進会議、混合診療解禁検討
第2次小泉改造内閣発足、新厚生労働
相に尾辻秀久氏就任
ロシア南部北オセアニア共和国で武装
集団が学校占拠
浅間山が噴火、山火事発生
近畿、東海地方中心に2度の地震
台風18号、21号被害
プロ野球再編問題、初のストライキ
10月
世界医師会総会東京で開催
日医など国民医療推進協議会総会開催、
混合診療反対運動など実施
日医、新潟県中越地震で支援物資搬送
第43回十三大都市医師会連絡協議会が
仙台市で開催
県医、小児救急医療電話相談実施
特定機能病院、国立病院機構に重大事
故報告義務付け
特区における株式会社医療経営応募ゼロ
厚労省、介護保険制度改革で居住費・
食費全額徴収の方針
厚労省と規制改革推進会議、混合診療
問題協議するも平行線
経済財政諮問会議、社会保障給付費の
総額管理を検討
米大リーグ、イチロー選手が大リーグ
安打記録84年ぶり更新
米調査団、イラク大量破壊兵器は存在
しなかったとする報告書を議会に提出、
イラク戦争の大義は崩壊
「台風22号、23号被害 日本に上陸した
台風10個は過去最高
新潟県中越地震、震度6強観測 避難
住民一時10万人超
イスラム過激派日本人拉致、殺害
ウサマ・ビンラディン容疑者、米中枢
同時テロ犯行認める
11月
「国民皆保険制度を守る国民運動」展開
署名600万人分国会へ請願
市医、ターミナルケア医養成講座実施
市医成人病センター、病院機能評価の
認定
中医協で特定療養費見直し開始
「痴呆に替わる用語に関する検討会」
「痴呆」に替わり「認知症」に
政府・与党、三位一体改革で国保7000億
円都道府県負担導入同意
日銀1万円・5千円・千円札刷新
米大統領選、ブッシュ大統領再選
会計検査院03年度決算検査報告、税金
の不適正な会計処理約430億円
中国潜水艦、沖縄先島諸島海域の領海
内航行、政府は海上警備行動発令
アラファトPLO議長死去、75歳
ダイエーはソフトバンクへダイエー球
団を約200億円で譲渡
12月
十三大都市医師会より日医へ介護保険
制度に対する要望書提出
市医「新潟県中越地震災害救援義援金
全国医師会」へ義援金送金
厚労省、C型肝炎感染問題でフィブリ
ノゲン納入7000医療機関公表
「医療機関等における個人情報保護の
在り方に関する検討会」医療機関向け
ガイドライン纏める
発達障害者支援法成立
混合診療問題決着、特定療養費再構成
中医協改革について有識者会議設置
北朝鮮拉致被害者横田めぐみさんの「遺
骨」DNA鑑定で別人のものと判明
北朝鮮への経済制裁検討へ
イラク自衛隊派遣1年延長閣議決定
「振り込め詐欺」7万5427件、前年同期
に比べ41.9%増加


<医療情報室の目>
平成16年を顧みるに医療界には政府による規制改革の波が引き続き押し寄せてきた年であった。
年末まで議論が紛糾した混合診療の問題については、日医を始め、各医師会による国民皆保険制度を守る為の国民運
動を展開してきた所である。尾辻厚生労働相と村上行政改革相による閣僚折衝の結果、混合診療の全面解禁は見送り、
特定療養費制度を再構成することで決着がついた。
しかし、具体的内容については来年以降に検討される予定で、また来年は介護保険制度改革が控えており、政府は相
変わらず医療の本質はなおざりにして、財政面からのみの改革として捉え、国民への負担増を求めていくようである。
今後も医師会としては、国民が安心して医療を受診できるよう活動を続けていきたいと考えている。
来年も医療情報室レポートでは、様々な医療情報を解りやすくお伝えしていきたいと考えております。
来年も宜しくお願い致します。

 ※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
   (事務局担当 立石 TEL852-1501 FAX852-1510)
 

担当理事 津 田 泰 夫(広報担当)・入 江 尚(情報担当)・大 木 實(渉外担当)・原 村 耕 治(地域ケア担当)


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