医療情報室レポート
 

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2002年12月25日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1501・FAX852-1510 

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特集:平成14年をふりかえって

サッカーW杯の日韓共同開催や北朝鮮拉致被害者の24年ぶり帰国など、日本と朝鮮半島間の歴史的な出来事が続いたこの1年。更に北朝鮮が核施設再稼働を表明するなど朝鮮半島をめぐる緊張が続く状態で平成14年は終わろうとしている。相変わらず暗い話題が多い中、ノーベル賞日本人2人受賞の快挙が唯一、未来へ向けて希望の持てる出来事であった。医療界においては、患者負担増と史上初の診療報酬マイナス改定、再診料の逓減制導入、長期入院の特定療養費化など国民と医療機関にのみ痛みを負わせる改悪に、皆、悲憤慷慨の1年であったと思う。
今回は年末恒例として“平成14年をふりかえって”みた。
  

医師会関係 厚生行政関係 主な出来事
1月
市医役員選挙、次期会長に竹嶋康弘(西区)を選出
2001年人口動態統計の年間推計を発表、出生数(117万5000人)は過去最低
EU12カ国で単一通貨ユーロの現金流通始まる
三和銀行、東海銀行が合併、UFJ銀行が誕生
狂牛病対策の牛肉買取り制度に対する雪印食品の輸入牛肉偽装問題が発覚
アフガン復興支援会議NGO参加問題で田中真紀子外相を更迭、後任に川口環境相起用
2月
日医、国民健康読本「あなたの健康を守るために」刊行
県医役員選挙、次期会長に関原敬次郎(北九州市)を選出
中医協、2002年度診療報酬改定で史上初の技術料1.3%マイナス改定、再診料の月内逓減制、6か月超の入院基本料一部特定療養費化等を答申
第19回冬季オリンピック、米国ソルトレークシティで開幕
ブッシュ米国大統領が来日
3月
日医、「医療のグランドデザイン−補遺2016年版−」を公表
市医「会員異動対策委員会」、開業・入会に対する考え方について中間答申をとりまとめる
国立成育医療センターがオープン
「医療制度改革推進本部」が初会合
「これからの医業経営の在り方に関する検討会」、医療法人の理事長要件緩和等について見解を示した中間報告をまとめる
第8回冬季パラリンピック、米国ソルトレークシティで開幕
社民党辻本清美衆議院議員が秘書給与疑惑により議員辞職
2002年度予算が成立、厚労省予算は18兆6684億円、前年度比3.2%増
政府が「規制改革推進3か年計画」を閣議で了承
4月
日医役員選挙、会長に坪井栄孝(福島県)を選出、代議員会議長に関原敬次郎福岡県医会長を選出
日医代議員会、診療報酬マイナス改定に対する抗議文を議長・副議長連名で小泉首相・与党政調会長等に提出
日医、緊急レセプト調査を実施
要件を満たす学会の専門医資格や平均在院日数等、医療機関が広告できる事項を緩和
医師国家試験合格者発表、合格者7,881人、合格率90.4%、女子の割合30.8%
ペイオフ一部解禁
公立小中高校、完全週5日制実施
みずほフィナンシャルグループの2銀行発足、ATM障害で混乱
加藤紘一自民党元幹事長、元秘書脱税事件、政治資金流用疑惑で議員辞職
小泉首相が靖国神社参拝
5月
市医、特別講演会で4月の診療報酬改定に関する新旧点数置き換え作業の結果を報告
日医、サッカーW杯に向け「ワールドカップ対策本部」を設置
日医、「医師とたばこ−医師・医師会はいま何をなすべきか−」の日本語訳を作成
「欠格条項改正に伴う医師・歯科医師国家試験に関する検討会」を設置
「新たな看護のあり方に関する検討会」設置医療技術の進歩、在宅医療の推進等に伴う看護業務の見直し等を検討
井上裕前参院議長、裏金授受疑惑で秘書逮捕され議員辞職
昨年12月奄美沖に沈没した不審船の海中調査開始
「東ティモール民主共和国」誕生
経団連と日経連が統合し「日本経団連」発足
ロシアがNATO準加盟国に
日韓共同開催のサッカーW杯開会
6月
日医「医療制度改革検討委員会」設置
日医「日医医薬品併用禁忌データベース」を構築し、ホームページに公開
日医、日歯・日薬と三師会で「健康保険法等の一部改正法案の慎重な取り扱いを求める声明」を発表
2001年人口動態統計の年計を発表、合計特殊出生率は過去最低の1.33
「インターネット等による医療情報に関する検討会」発足、患者が利用しやすい情報提供システムの整備について検討を開始
鈴木宗男衆院議員があっせん収賄容疑で逮捕
東京女子医大病院の心臓手術事故で医師2人逮捕
日本食品の輸入牛肉偽装買取り問題が発覚
経済財政諮問会議、「骨太の方針第2弾」をまとめる
カナダのカナナスキスで主要国首脳会議開催
サッカーW杯決勝戦が横浜で行われ、ブラジルが5度目の優勝
7月
第34回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会が鹿児島市で開催
日医、「児童虐待の早期発見と防止マニュアル−医師のために−」を発行
日医、三師会で健保法等改正案・診療報酬改定の対応のため「統合戦略本部」を設置
日医、健保法改正案成立に三師会で“重大な決意”示す「声明」を発表
日医、「医療安全管理指針」モデルを作成
坪井日医会長、麻生自民党政調会長との間で医療関係法の改正ついて「確認書」を取り交わす
「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」設置
社会保障審議会介護給付費分科会、介護報酬体系の見直し案を了承
改正健保法等が成立、10月から高齢者定率負担、来年4月から健保本人負担3割に
健康増進法成立
「2000年度国民医療費の概況」発表、国民医療費は30兆3583億円で前年度比1.9%減少
「2001年簡易生命表」を発表、平均寿命は男性78.07年、女性84.93年でともに過去最高
政府「知的財産戦略大綱」まとめる
ドイツ上空でロシア旅客機と貨物機が空中衝突
米国通信大手ワールドコムが破たん
総合規制改革会議が第2次中間報告をまとめる
郵便事業に民間参入認める郵政関連法成立
宮崎県の温泉施設でレジオネラ菌集団感染
8月
日医「医療に関連する規制改革特区対策委員会」が初会合
第33回中四九地区医師会看護学校協議会が松山市で開催
局長級人事、事務次官に澤田陽太郎職業安定局長、厚生労働審議官には大塚義治保険局長
2003年度予算概算要求、前年度予算比4.58%増の19兆5237億円を自民党厚生労働部会関係調査会合同会議に提出
人事院、初めて本給2.03%引き下げを勧告
住民基本台帳ネットワークが稼働
日本ハム子会社の輸入牛肉偽装買取り問題が発覚
田中真紀子前外相が秘書給与流用疑惑で議員辞職
東欧諸国で大洪水発生
東京電力で原発トラブル隠し発覚
9月
日医、国民向け情報紙「健康交差点」創刊
日医「診療情報の提供に関する指針」検討委員会、遺族へも診療情報を提供する改定指針の最終報告をまとめる
第39回九州首市医師会連絡協議会が宮崎市で開催
日医、総合規制改革会議規制改革特区ワーキンググループのヒアリングで株式会社の医療参入、混合診療実施等の「医療特区構想」に断固反対の姿勢を表明
少子化対策の中長期的な方針として「少子化対策プラスワン−少子化対策の一層の充実に関する提案−」を小泉首相に提出
坂口厚労相、医療制度改革の大臣私案を公表、診療報酬体系の見直し等について考えを示す
2004年度からの医師臨床研修必修化に伴い 「新たな医師臨床研修制度の在り方について(案)」を公表、臨床研修病院の指定要件を大幅に緩和
奄美沖に沈没した不審船を引き揚げ
小泉首相が史上初めて北朝鮮を公式訪問、日朝首脳会談で金総書記が拉致事件について認め謝罪
小泉改造内閣発足、厚労相は坂口氏再任
西日本銀行と福岡シティ銀行が2004年10月を予定に合併することに基本合意
10月
市医、ニコニコペース健康教室20周年記念ウォークを開催
第53回世界医師会総会で日医提案の「高度医療技術と医の倫理に関するWMA宣言」 「患者の安全に関するWMA宣言」が採択
第41回十三大都市医師会連絡協議会が名古屋市で開催
日医、国民向け広報活動として三師会共同で情報紙「健康三叉路」を創刊
2001年度政管健保の収支決算を公表、過去最大4710億円の赤字
「終末期医療に関する調査等検討会」が初会合、年明けに意識調査を予定
社会保障審議会介護給付費分科会に「介護事業経営実態調査」の結果を提示、介護施設3種とも黒字
政府がペイオフ全面解禁の2年間延長を決定
ノーベル物理学賞に小柴昌俊東大名誉教授
ノーベル化学賞に田中耕一島津製作所主任
バリ島で爆弾テロ、ディスコが炎上し邦人2人含む観光客多数死傷
北朝鮮に拉致されていた5名が24年ぶりに一時帰国
モスクワで武装勢力による劇場占拠、特殊部隊が突入するも人質多数死亡
クアラルンプールで日朝国交正常化交渉再開
11月
叙勲受章
大熊隆人元会長、勲五等双光旭日章
日医、各都道府県・郡市区医師会の診療に関する相談窓口に寄せられた相談事例をまとめ、冊子「『診療に関する相談窓口』における受付事例vol.1」を作成
坂口厚労相が不妊治療に保険適用の意向を表明
「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会」が初会合、看護業務の多様化に対する養成環境の整備を目指す
「第1回21世紀成年者縦断調査−国民の生活に関する継続調査−」を実施、家族構成、就業状況などの実態把握を目的
中国、新総書記に胡錦濤氏を選出、第4世代指導部発足
福岡市長選挙で市医連推薦の現職山崎広太郎氏が再選をはたす
高円宮憲仁さまが心室細動でご逝去
イラクに対し国連査察団が大量破壊兵器の査察を開始
12月
日医、診療報酬改定・制度改正等による医業経営の影響把握のため「緊急医業経営実態調査」を実施
日医、日歯・日薬・日看協と四師会で3割負担実施凍結等のための国民運動を展開する「共同声明」を発表
日医、「自浄作用活性化委員会」を設置、竹嶋市医会長委員に就任
「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会ワーキングチーム」、限定的に気管挿管を認める報告書を了承
医療保険制度改革論議のたたき台となる「改革試案」を公表
政府の総合規制改革会議が第2次答申を小泉首相に提出、医療への株式会社参入は項目削除
北朝鮮が米国の重油提供中断に対抗し、核施設の再稼働を表明


<医療情報室の目>
史上初の診療報酬マイナス改定に大きく揺れた平成14年であったが、引き続き株式会社の医療参入、混合診療の導入などに市場原理主義者のみならず財務省、公取委、更にはアメリカまでも“外圧”をかけてきており、現在、医療がおかれている状況は極めて危機的な状態にあるといえる。
ここ1,2年が正念場と言われており、医療関係者の一致団結した行動が求められる。 
日医の重大な決意に期待するとともに、会員の先生方のより一層のご理解・ご支援をお願い申し上げます。

 ※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
   (事務局担当 百富 TEL852-1501 FAX852-1510)
 

担当理事 長 柄 均・江 頭 啓 介・入 江  尚


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