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特集:福岡市医師会IT化推進事業
−その2−
福岡市医師会が現在進めるIT化は、会員施設間のネットワーク構築とともに、各現業部門においても検討されています。特に、会員の先生方と直接医療情報を通じ連携の必要がある検査センター、成人病センターでは比較的早くから取り組みがなされています。また、成人病センター、訪問看護ステーションでは関係省庁の実証実験を通じてIT推進を図っています。
今回は、福岡市医師会の現業部門におけるIT化推進への主な取り組みについてお知らせします。
★検査データ配信サービス「L−NET」
L−NETとは、医師会検査センターから各医療機関へ電話回線により血液検査データを配信するシステムで、平成6年3月に開局し、現在139医療機関がご利用頂いています。
使用環境:[動作可能OS]Windows 95・Windows 98・Windows ME
Macではエミュレーションソフト(市販)を使いWindowsが動作すれば可能
[回線]@モデム(内蔵か外付)とアナログ回線
Aターミナルアダプタ(TA)とISDN回線
[データ]導入時において1年前のデータから抽出可能です。
主なメリット:・導入は無料
・操作が簡単
・報告書を待たずに検査データチェックができる
・プリンタの接続で報告書やグラフ等がカラー対応で出力できる
・データの経時的表示、グラフ化が簡単
・データを表計算ソフトへ取り込むことでメール、紹介状作成など利用範囲が広がる
★CT遠隔診断システム
平成12年10月からネットメディカルセンター(NMC)の遠隔画像診断支援サービスを利用し、CT撮影画像の読影を通信システムを用いて専門医へ依頼して、ご紹介いただいた会員の先生へ結果を報告しています。
現在、会員の先生方への報告はFAXにより行っていますが、写真による病変部位の特定など解りやすい読影レポートが電子ファイルで返ってきますので、会員の先生への電子情報による配信や、会員の先生が直接データを取得できるよう検討が進められており、この度ネットメディカルセンターで安全性を確保した上でそれらを実現する方法として、依頼機関から直接キー画像付きのレポートを見ることができる「Web閲覧システム」が開発され、8月にも運用試験が始まる予定です。そこで諸条件がクリアされ次第希望される全ての会員か利用可能となる見込みです。
★糖尿病電子カルテ開発
かねてより九大病院と準備を進めきた糖尿病電子カルテの共同開発実験が、この度の経済産業省“先進的IT活用による医療を中心としたネットワーク化推進事業”に採択され、44の参加施設との間で実証実験が行われることとなりました。
<システムの概要>
この糖尿病電子カルテ開発プロジェクトは、「糖尿病」が「高血圧」に次いで患者数が多く、その管理が医療(糖尿病専門病院、ホームドクター、眼科医、透析医)、行政、福祉、健康増進施設など多岐に及ぶことや生涯にわたるコントロールが必要とされる点に着目し、これからの電子カルテの一つのモデルとして、通信の暗号化や送受信元の確認など患者プライバシーとセキュリティに配慮した安全なネットワークを構築することによって、職域と居住区域である福岡都市圏における患者さんの生涯医療を実現することを目標としています。実証実験は今冬、約2ヶ月間行われる予定です。
実験のイメージは、患者さんが成人病センターを受診されましたら、その診療内容、処方等の患者情報をデータセンターに送り保存します。L-NETなどを通じて医師会検査センターの検査情報もデータセンターに保存します。次に患者さんが参加医療機関を受診されましたら、患者さんと先生方に予めお配りしている個人認証用のICカードをICカードリーダに二つ同時に挿入していただくと自動的にデータセンターの患者情報をコンピュータは読みにいき、先生方の目の前に受診記録(診療情報提供書、運動指示箋)等が現れるシステムが考えてられています。
現在、カルテの記載時間を極力短くすることにも十分配慮しながら、全体のフォーム等の作り込みが進められており、この8月にもプロトタイプが完成する見込みです。また、電子カルテのベース部分は画像や検査データも張り付けられるため、ユーザーインターフェースを切り替えることで将来は糖尿病以外の科目でも簡単に応用が可能となります。更に日医のオンラインレセコンORCAとも連動できるよう開発が進められており、完成後は広く会員の皆様に活用いただけるよう公開される予定です。
★携帯端末を用いた訪問看護記録通信システム
平成11年度に通産省のモデル事業に協力し、各ステーション事務所にパソコン各1台と訪問看護婦に携帯端末150台が配布され、訪問看護の記録を携帯端末よりステーションのパソコンに送信することが可能となり、利用者情報、看護記録のデータベース化が図られました。
今年度、訪問時に過去の看護記録を参照できるようデータの蓄積容量をアップさせ、より機能的に活用するために、訪問看護婦が携帯する端末をノートパソコンへ変更する予定です。
また、褥瘡の状況などを画像で送信する機能も追加し、電子メールなどの通信手段を用いて看護記録とともに主治医の先生へデータを送信することも検討しています。
<医療情報室の目> |
★進むIT化(その2)
医師会現業部門のIT化は、会員の先生方の共同利用施設として位置づけられていることから、先生方との連携をより効率的に行うために積極的に取り組まれています。更に会員医療機関の情報機器の整備が進めば、先生方のニーズもより高いものとなってきますので、それに応えるためにもますます推進される必要があります。
医師会本部事業においても、事務局内はLANにより情報の共有化が図られ、週報をはじめとする各種通知文や「はーとふる ふくおか」「医療情報室レポート」「医師会検査センターだより」「INFORMATION」「えんしんぶんり」「成人病センターだより」などの広報紙もデータベース化し、イントラネットを通じて過去の情報も含めて参照できるようになっております。
また、会員の先生方がお持ちの「会員証」には二次元バーコードが貼付してあり、現在学術講演会における出席管理に利用させていただいておりますが、その利用拡大が期待されます。
いずれも会員の先生方への迅速な対応と業務の効率化を目指すものです。先生方のご理解・ご協力をお願いいたします。
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※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
(事務局担当 百冨 TEL852-1501 FAX852-1510)
担当理事 江 頭 啓 介・入 江 尚
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