医療情報室レポート 
 

bQ3  

2000年3月23日  
福岡市医師会医療情報室  
TEL852-1501・FAX852-1510 

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特集:介護保険 その5 -居宅介護支援事業-
いよいよ来月から介護保険制度が実施され、実際に要介護者に対し介護サービスが 提供されることとなります。
介護保険では、要介護者が実際に介護サービスの提供を受けるまでに、ほとんどの 方が居宅介護支援事業者にケアプランの作成を依頼されます。
要介護者と介護サービスを提供する事業者の調整機関として、居宅介護支援事業者 は重要な役割を持っているといえます。
今回は介護保険実施を直前に控え、要介護者がサービスを受ける最初の窓口となる 居宅介護支援事業について特集しました。

 
 居宅介護支援とは? 

 介護保険によるサービスを受けようとする者は、市町村に要介護認定申請を行い、介護度に応じ「自立」、「要支援」、「要 介護1〜5」に認定され、それぞれサービス利用限度月額が示されます。
 要介護者は、示された利用限度額内で1月に利用するサービスの選定を行い、サービス計画を作成することとなります。
もちろん、自身で作成することも可能ですが、介護の専門家であるケアマネジャー(介護支援専門員)に依頼し作成す ることとなります。
 居宅介護支援事業所は、指定基準の人員(ケアマネジャー)を有し、居宅介護支援事業を行うこととして都道府県より指 定を受けた事業所で、要介護者からの依頼を受け、その者の心身の状態を調査し課題の分析を行い、本人や家族のニーズに 沿ったケアプラン(居宅サービス計画)を作成し、各種サービス事業者との連絡調整を行い、再評価等を行います。
(居宅介護支援事業所にケアプラン作成を依頼した場合、要介護者のケアプラン作成にかかる自己負担はありません。)
 尚、居宅介護支援事業者は要介護認定の申請を代行する業務を行うことができるほか、市町村から要介護認定申請者に対 する訪問調査を委託される場合もあります。



 居宅介護支援事業者の業務 

ケアプラン(居宅サービス計画)の作成
  要介護者が在宅サービスを有効に利用することができるよう、要介護者等の依頼を受けて、その者の心身の状況、そ の置かれている環境、本人及び家族の希望等を勘案し、利用する在宅サービスの種類、内容、担当者などを定め、介 護支援専門員がサービス計画の原案を作成し、サービスを提供する居宅サービス事業者の担当者を交えたサービス担 当者会議に諮り、検討の上、要介護者等の了解を得て決定する。
ケアプラン作成の際、主治医と十分連絡を取り、医療サービスの部分については主治医の指示に従い、その他のサー ビスについても主治医の留意事項などを尊重する。

居宅サービス事業者との連絡調整
  ケアプランに基づく居宅サービスなどの提供が確保されるよう、居宅サービス事業者等との連絡調整を行う。
在宅の要介護者等が介護保健施設への入所を要する場合、介護保健施設の紹介などを行う。

サービス提供後のフォロー
  ケアプランに位置づけたサービスについて不都合がないか、利用者や家族、サービス事業者に対し定期的に情報収集 を行い、問題点等があれば再アセスメント(課題分析)を行い、新たにケアプランを作成する。

要介護認定申請の代行
  利用者(要介護者)が希望する場合、要介護認定の申請(新規・継続)を本人に代わって行う。

訪問調査
  市町村から要介護等申請者の心身の状態に関する訪問調査を委託された場合、申請者に対して訪問調査を行う。




 福岡市医師会が行う居宅介護支援事業 

 本会では、これまで会員の先生方の在宅医療の後方支援システムとして機能させてきた訪問看護ステーションにケアプラ ンセンターを併設するとともに、法人格を有しない会員の先生方がケアプランを作成する機関として居宅介護支援事業所を 開設し、公平・中立な立場で、かつ主治医の意見が十分反映されたケアプラン作成を予定しております。

 利用者が居宅サービスを
 受けるまで 

 @区役所に要介護認定申請を
  行う

 A介護認定審査会において要
  介護度が決定され認定結果
  が通知される

 B利用者は介護度に応じたケ
  アプランの作成を居宅介護
  支援事業所に依頼する

 C居宅介護支援事業所は利用
  者のかかりつけ医と連絡・
  調整を図り、必要な指導・
  助言を受ける

 D居宅介護支援事業所は利用
  者の希望、心身の状況を把
  握し、居宅サービスの選定
  を行いケアプランに位置づ
  ける

 E居宅介護支援事業所は作成
  したケアプランを利用者に
  提示し、同意を得る

 Fケアプランに位置づけられ
  た居宅サービス事業者から
  サービスの提供が行われる



<医療情報室の目>
★介護状態にある高齢者には必ず医療の支援が必要
 介護を必要とする高齢者等は、言うまでもなく何らかの疾病を有しそれが原因となって介護状態になっている場合 がほとんどと考えられます。介護保険サービスが提供される場合、介護サービス事業者への医学的見地からの指導・ 助言は必ず必要です。ケアプランを作成する居宅介護支援事業所は、要介護者の状態についてかかりつけ医と十分連 絡を取る必要があると思います。医師会立の居宅介護支援事業所(訪問看護ステーション併設のケアプランセンター) や法人格を持つ会員の先生方が設立される居宅介護支援事業所であれば、医療に視点が置かれたケアプラン作成に期待 が持てます。
★居宅介護支援事業所は公正で中立的な立場
 居宅介護支援事業所は、利用者からの依頼によりケアプランを作成するに際し、様々な介護サービス事業者からサー ビスの選択を行います。よって公正中立な立場で利用者の側に立った事業者の選定が行われる必要があります。
 医師会で居宅介護支援事業を実施することは、公正中立な立場で、かつ医療に視点を置いたケアプラン作成を可能と し、かかりつけ医である会員の先生方とも緊密な連携が保たれた介護保険サービスの提供につながると考えます。

 
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   (事務局担当 百冨 TEL852-1501 FAX852-1510)
 

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