医療情報室レポート |
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1999年12月17日 特 集:平成11年をふりかえって
※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。 担当理事 江 頭 啓 介・山 浦 隆 宏
国内初の脳死判定による臓器移植実施、介護保険の認定申請開始、医療制度抜本改
革に伴う薬価問題や高齢者医療制度の論議など平成11年も医療をとりまく環境で
は様々な出来事がありました。また、コンピュータ西暦2000年問題、診療情報
開示にむけた動きなど、懸案事項が年末まで続きます。一方では、茨城県東海村の
臨界事故やトルコ・台湾大地震など憂うべき事件もありました。
今回は昨年12月と同様に、医師会、厚生省、その他主な出来事について“平成
11年をふりかえって”みました。
医師会関係事項
厚生省関係事項
主な出来事
1
月
・日医、コンピュータ西暦2000年問題の「対応マニュアル」をまとめる
・医福審制度企画部会、「薬剤給付のあり方について」と題する意見書を厚相に提出
・勃起不全治療薬クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)を承認
・臓器提供意思表示カードがコンビニエンスストアに配置
・横浜市立大病院で患者取り違え手術
・自自連立政権が発足
・インフルエンザ猛威、高齢者施設の集団感染等で死亡者続出
2
月
・日医、都道府県医師会長協議会開催、日本型参照価格制度に反対する危機突破キャンペーンとして窓口での署名運動実施を決定
・日医診療情報に関するガイドライン検討委員会、「診療情報の適切な提供を実践するための指針」最終報告をまとめる
・インフルエンザの流行状況把握のためインフルエンザ様疾患の診断基準を設定
・高知赤十字病院の患者が法的に脳死と判定、臓器移植法施行後初の脳死判定による臓器移植が阪大、信州大などで行われる
3
月
・県医、「医療危機突破福岡県医師会講演会・総決起大会」開催
・日医、医学教育に関する研究・研修の実施機関となる「日本医学教育センター(仮称)」の設立に向けプロジェクト委員会を設置
・医福審老健・介護給付費部会、介護保険各種サービスの人員、設備、運営基準などについて答申書をまとめ厚生省に提出
・看護婦国家試験合格者発表、合格者53,821人と過去最高、合格率97.1%で4年ぶりに上昇
・岡山大病院、国内初の肺がん遺伝子治療を実施
・平成11年度政府予算案が成立、厚生省予算は16兆2,203億円、前年度比8.1%増
・福岡市の地域振興券交付
4
月
・第100回日医定例代議員会、「診療情報の提供に関する指針」の制定を承認
・日医坪井会長、定例代議員会挨拶で薬価制度改革、診療報酬体系の改革、高齢者医療保険制度の創設、医療提供体制の改革について所信を表明
・薬剤定価・給付基準額制に反対する署名活動、600万名もの署名を集める
・日医、新しい薬価制度改革案を自民党医療基本問題調査会・社会部会合同会議に提案
・第25回日本医学会総会開催、パネルディスカッション「地域医師会と地域医療」で東区医師会が医療ネットワークの報告を行う。
・県医、シンクタンク「保健医療福祉研究機構」を開設
・感染症新法施行
・医福審制度企画部会、診療報酬体系見直しについて意見書をまとめ、厚相に提出
・医福審老健・介護給付費部会、要介護認定基準と介護保険給付の基本指針に関する答申書をまとめ、厚相に提出
・准看護婦の移行教育に関する検討会、准看から正看への移行教育の時限措置を盛り込んだ報告書をまとめる
・カルテなど医療情報の電子媒体保存を解禁
・医師国家試験合格者発表、合格者7,309人、合格率84.1%、女性が3割占める
・自民党医療基本問題調査会・社会部会合同会議、「薬剤定価・給付基準額制」の白紙撤回を決定
・福岡市助役に坂本雅子氏就任
・第14回統一地方選挙、福岡県知事に市医連推薦の現職麻生渡氏当選、県議14名、市議25名の市医連推薦候補が当選、城南区県議推薦候補1名惜しくも次点
5
月
・日医、「薬剤制度構造改革日医案」をまとめる
・11年度医療監視にコンピュータ西暦2000年問題を盛り込む
・精神保健福祉法改正案が成立
・日本版オレンジブック「医療用医薬品品質情報集」完成
・慶応大病院で国内2例目の脳死判定、国立循環器病センター等で臓器移植実施
6
月
・日医、かかりつけ医意見書料、初回申請の在宅者5,000円、入所者4,000円で厚生省と合意したと発表
・日医、4月に自民党に提出した薬価制度改革案を一部修正した新たな案を自民党に提出
・自民党医療基本問題調査会会長、同調査会と社会部会の合同会議に「医療制度抜本改革の基本的な考え方」を提示
・准看護婦の資質の向上に関する検討会、准看学校養成所のカリキュラム時間数を1890時間以上とする報告書をまとめ検討を終える
・低用量経口避妊薬(ピル)を承認
・宮城県古川市立病院で国内3例目の脳死判定、国立循環器病センター等で臓器移植実施
・福岡市内に全国初の「患者の権利オンブズマン」発足
・西日本一帯で集中豪雨、死者・行方不明37人、福岡市でも地下街中心に都市機能マヒ、1人死亡
医師会関係事項
厚生省関係事項
主な出来事
7
月
・日医、厚生省と「医療機関におけるコンピュータ西暦2000年問題危機管理計画策定指針」をまとめる
・老人の外来薬剤一部負担廃止の臨時特例措置スタート
・医療審議会、第4次医療法改正について意見(中間報告)をまとめ厚相に提出、カルテなどの診療記録の開示法制化は結論出ず議論を終える
・平成9年度の国民医療費を発表、総額29兆651億円、伸び率は過去最低の1.9%・平成10年度の医療保険医療費を発表、約27兆5,200億円で対前年度比2.6%の増
・宮下厚相、「結核緊急事態宣言」発令
・福岡県内97市町村のうち71市町村が参加する全国最大規模の「介護保険広域連合」が発足
・省庁改革法、地方分権法が成立、2001年1月から1府12省庁に再編
・京都大学付属病院で世界初の生体ドミノ肝移植実施
・九州大学附属病院で世界2例目の生体ドミノ肝移植実施
・第2回介護支援専門員実務研修受講試験が25日に全国で実施
8
月
・第30回中四九地区医師会看護学校協議会が宮崎県延岡市で開催
・日医、診療情報提供や診療録などの開示に対する患者の苦情相談窓口、苦情処理機関の設置等について具体案をまとめる
・「平成10年簡易生命表」を発表、平均寿命は男性77.16年、女性は84.01年で男性は前年を0.03年下回る
・厚生事務次官に羽毛田氏、保険局長に近藤氏、老人保健福祉局長に大塚氏、官房長に中西氏、健康政策局長に伊藤氏、保健医療局長に篠崎氏就任
・平成10年人口動態統計(確定数)発表、合計特殊出生率1.38とほぼ横ばい
・人事院勧告、平均0.28%と過去最低を更新
・トルコで大地震、死者17,000人を超す
9
月
・第36回九州首市医師会連絡協議会が佐賀市で開催
・日医、「診療情報の提供に関する指針」の施行日を平成12年1月1日とすることを決定
・臓器移植専門委員会、脳死判定の条件や具体的検査方法をまとめた「法的脳死マニュアル」を公表
・「平成10年医療施設(動態)調査・病院報告概況」を公表、1日平均外来患者数は219万8,139人となり2年連続のマイナス
・台湾で大地震、死傷者10,000人を超す
・神奈川県警相次ぐ不祥事発覚
・台風18号猛威、死者20人
・茨城県東海村で日本初の臨海事故発生
・福岡ダイエーホークス初優勝
10
月
・第38回十三大都市医師会連絡協議会が福岡市で開催(於 ホテルニューオータニ博多)
・日医、コンピュータ西暦2000年問題で「医療分野のY2K越年時対策本部」を設置
・世界医師会総会で日医坪井会長が次期世界医師会長に就任
・インフルエンザの施設内感染予防マニュアルを策定
・医療関係者審議会・保健婦助産婦看護婦部会、准看教育「1890時間」実施を平成14年度に再延長
・全国で要介護認定の申請受付はじまる
・自自公連立政権による小渕第2次改造内閣が発足、厚相に丹羽雄哉氏が就任
・福岡ダイエーホークス、中日ドラゴンズを4−1で破り日本一
11
月
・池田俊彦会員、日本医師会優功賞を受賞
・日医診療情報提供に関するガイドライン検討委員会、診療情報の提供に関する指針を運用するための具体的手続きについて明示した「診療情報の提供に関する指針の実施に向けて」をまとめ、坪井会長へ答申
・日医、中医協総会で12年4月の診療報酬改定は3.6%の引き上げを要望
・インフルエンザ対策としてポスター・リーフレットを配布
・衆議院厚生委、年金制度改正案を強行採決
・大阪予防接種禍訴訟で和解成立、集団訴訟全て終結
・福岡県議東区選挙区補選、市医連推薦の長氏、大賀氏共に当選
12
月
・日医、中医協総会で薬価差解消分として医療費ベースで4.5%の診療報酬転嫁を要望
・市医、インフルエンザワクチン不足問題で緊急記者会見、予防と早期治療を呼びかける
・インターネットでエイズに関する情報を提供する「エイズ予防情報センター」を開設
・平成10年「医師・歯科医師・薬剤師調査」の概況発表、届出医師数は248,611人
・成年後見4法案が可決成立、来年4月1日施行
<医療情報室の目>
★平成11年も残すところあと僅かとなりました。相変わらず続く経済不況、あってはならない信じられないような事
故、不祥事が続き社会情勢が一向に浮上しない中、唯一福岡ダイエーホークスの優勝が我々福岡市民を元気づけてく
れたような気がします。
さて、いよいよ新しいミレニアム(千年紀)が始まります。コンピュータ2000年問題の対策は既にお済みと思いますが、
不測の事態に備えなければなりません。また、年が明ければ診療報酬の改訂、第4次医療法改正、介護保険制度の施
行と医療界の大変革が待ち受けています。21世紀へ向けてよりよい医療提供体制の確立を目指し、医療が後退する
ことがないよう、日医を筆頭とした活動が必要です。次の千年、子々孫々までも良質な医療が提供されるためには、
今が正念場ともいえます。
会員の先生方のこれまで以上のご支援をお願い申し上げます。
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