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特集:介護保険
その4−介護認定作業はじまる;福岡版−
平成12年4月からの介護保険制度実施に先立ち、本年10月より要介護認定申請
が全国一斉に開始されました。
既に訪問調査、主治医意見書の作成が行われ、介護認定審査会も10月19日から
毎日のように開かれています。
今回は申請開始から約2カ月が経過した介護保険認定作業について、申請の状況や
認定審査会委員の先生方の審査会における印象などについてお知らせします。
○認定審査申請者数:868件(うち取り下げ16件)
○認定調査件数:576件
○審査判定件数:168件
○判定結果:
非 該 当 |
7 |
要介護3 |
27 |
要 支 援 |
19 |
要介護4 |
28 |
要介護1 |
45 |
要介護5 |
18 |
要介護2 |
24 |
|
|
※福岡市の状況(平成11年9月末現在)
○65歳以上人口:166,202人
○介護認定審査会合議体数:42
○介護認定審査会委員数:226
○審査委員医師委員数:78
(うち本会推薦委員:57)
○ |
第1号被保険者(65歳以上の方) |
○ |
第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)のうち、老化に伴う病気(特定疾病)が原因で日常生活を送るために
介護や支援が必要な方 |
特定疾病(それぞれ診断基準があります) |
@初老期の痴呆(アルツハイマー病・脳血管性痴呆等) A脳血管疾患(脳出血・脳梗塞等) B筋萎縮性側索硬化症 Cパーキ
ンソン病 D脊髄小脳変性症 Eシャイ・ドレーガー症候群 F糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症・糖尿病性神経障害 G閉塞性
動脈硬化症 H慢性閉塞性肺疾患(肺気腫・慢性気管支炎・気管支喘息・びまん性汎細気管支炎) I両側の膝関節または股関
節の著しい変形を伴う変形性関節症 J慢性関節リウマチK後縦靱帯骨化症 L脊柱管狭窄症 M骨折を伴う骨粗鬆症 N早老
症(ウェルナー症候群等)
|
各区役所にて申請またはサービスの提供を受けている機関が代行して申請する。
↓
区役所の職員または市の委託を受け申請代行を行ったサービス機関の職員が心身の状況の調査を行う。(85項目)
↓
申請者の主治医が心身の状況についての意見書を作成する。
↓
訪問調査の結果と主治医意見書をもとに保健・医療・福祉の学識経験者で構成する介護認定審査会で介護の必要性、
程度について審査を行い、自立、要支援、要介護1〜5の区分に認定する。
(介護認定審査会における各委員の印象、課題等について、福岡市介護認定審査会部会長会議より抜粋)
−審査会運営について−
○調査書・意見書が一致するように事前にチェックをしておくことが必要。状態像のすりあわせが難しい。
○一次判定に主治医意見書と異なる点はマークを付けてほしい。
○介護度を変更する可否が難しい。モデルケースを提示してほしい。
○状態像例の近似例を選ぶのに苦労している。
○状態像例の介護の手間のイメージが浮かんでこない。
○介護度別に集めた方が審査しやすい。
○痴呆があってもADLに問題ない人は課題である。
−主治医意見書について−
○主治医意見書の内容が診断基準のものではないのでクリアしているかどうか審査・判定が難しい。
○特記事項・主治医意見書はしっかり書いてほしい。
○意見書が具体的になっていない。
○特記事項は詳細に記載していれば、判断がしやすく、水準も保ちやすい。
○特記事項を具体的に書いてほしい。
<医療情報室の目> |
★主治医意見書を遺漏なく記入することがかかりつけ医としての使命
認定審査会における審査委員の印象でも、意見書の記入が充分でなく、審査に反映できない場合があるとの報告
もあります。意見書の内容充実は医師会の責任において指導すべき点であり、これまでの研修に加え、近々福岡市
保健福祉局監修による福岡市医師会作成の主治医意見書記入マニュアルを会員へ配布の予定です。
マニュアルでは、意見書記入にあたって申請者の状態像をより具体的に把握するため、予診表を用いることを提
案しております。是非ご活用下さい。また、医療の必要性は主治医意見書がそのよりどころとなります。意見書を
正確に記入し、医療側の意見を確実に反映させることが我々医師の使命といえます。
★痴呆の問題をいかに解決するかが課題
痴呆の判断については昨年のモデル事業でも問題としてあがっていた点であり、福岡市の審査会には各区1名ず
つ痴呆症専門医が入り審査にあたっています。
痴呆に関しては訪問調査での把握が難しい場合もあり、意見書が重要な判断材料となり得ます。上述の福岡市医
師会作成主治医意見書記入マニュアルでは、老人性痴呆をスクリーニングする材料として「改訂長谷川式簡易知能
スケール」の使用を提案しています。意見書の「その他特記すべき事項」の欄に添付していただくことで、審査会
での痴呆の判定がより具体的に行われることと思います。資料をコピーしてご利用下さい。
★認定漏れへの対応
現在実際にサービスの提供を受けている方々の中で、介護保険の認定では自立と判定される場合が考えられます。
これら認定漏れの申請者に対しては、行政で救済措置が考えられており、我々医師はそこにとらわれることなく、
公正に意見書を記入する必要があります。市民に不公平感が生じず、不利益が発生しないよう、また苦情が主治医
に寄せられないような介護保険の円滑な運営のための行政の施策が期待されるところです。
尚、公平公正な審査を行うためには審査会各合議体の平準化が必要であり、福岡市では各区に審査部会連絡協議
会を設置し、また各区審査委員代表による運営協議会を設置し、審査判定に係る水準の均一化及び適正化を図るた
めの組織づくりを行っています。
★医師会全体で介護保険を支えていくことが必要
介護認定審査会には本会より57名の医師委員を推薦していますが、委員の先生方はほぼ毎週1回、診療後の午
後6時30分より2時間以上の審査会に出席されています。審査の判定は非常に責任あるものであり、ご負担は相当
なものと拝察します。主治医意見書の記載が不十分な場合、その判断を任される医師委員の負担は更に増えるでし
ょう。我々医師が各自意見書を正確に記入することがここでも求められていると思います。
介護保険の認定においては審査委員だけでなく、意見書を記入する全ての医師が関わり、責任を負っているとい
えます。
介護保険制度は、医師会全体で参画し、地域全体で支えていく必要性を各自認識しなければならないと考えます。
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