医療情報室レポート 
 

bP1  

1999年3月26日
福岡市医師会医療情報室
TEL852-1501・FAX852-1510

印刷用

特 集:コンピュータ2000年問題

     現代社会の根幹をなすコンピュータが、2000年1月1日0時を
   迎えるとき、全く予測がつかない反応を起こす可能性があります。
   その影響は社会生活の混乱を招く恐れがある他、軍事問題にも及び
   国際的な問題でもあります。
   政府は特に、金融・エネルギー・情報通信・交通・医療の5分野を
   重要対応分野として、その対策を進めています。
   今回は医療分野におけるコンピュータ2000年問題について特集
   を組みました。ご一読いただき、対応の参考として下さい。

   ※以下、内容は日本医師会ホームページ掲載『日医版「コンピュータ西暦2000年問題」対応マニュアル』より抜粋

 
 問題発生の原因 

 ○コンピュータのプログラミングでは、通常、年表示には西暦の下2桁を使用しています。一般社会でも、年表示を西暦の下2桁で表現することは多々あります。しかし、98年なら1998年と理解することが通例ですが、「00」年と表示した場合、2000年と理解するかといえば、それは疑問です。コンピュータにおいても、「00」年を2000年と認識しない可能性があります。
  2000年になった際にコンピュータ、コンピュータ・システムが如何なる反応をするかは予測不可能な部分があります。そして、コンピュータやコンピュータシステムがダウンした場合の社会に与える影響の大きさは、事後処理的な対策では許されるものではありません。

 医療分野への影響 

 ○医療分野においても、この問題を原因としてコンピュータ、コンピュータ・システム、マイコンチップ内蔵医療機器に誤作動・停止が起きる可能性があります。誤作動・停止が発生した場合、日常診療の混乱のみならず、患者の健康・生命にも重大な影響を及ぼしかねません。2000年1月1日に、医療施設のコンピュータ、コンピュータシステム、医療機器に混乱を起こさないような万全な対策が必要です。

 スケジュール表の作成 

 ○この2000年問題は発生日時が明確ですので、対策スケジュールは立て易いといえます。参考までに簡単な例を以下に示します。

    @第1ステップ : 調査準備(〜平成11年4月)
    A第2ステップ : 計画検討(〜平成11年5月)
    B第3ステップ : 点検試行(〜平成11年6月)
    C第4ステップ : 補修確認(〜平成11年12月)
    D第5ステップ : 監視態勢(平成11年12月31日23時〜)
    --------------2000年1月1日0時0分0秒--------------
    E第6ステップ : 復旧施行

 チェック対象機器類 

 ○2000問題のチェック対象はコンピュータ、コンピュータシステム、マイコンチップ内蔵が予想される医療機器類等です。とりわけ入力系に日付、年齢、生年月日、実施年月日などのインプットを必要としている場合、あるいは表示や印刷形式に年号、西暦、年齢が使われているコンピュータ、コンピュータシステム、医療機器、一般・医療設備は完全にその対象となります。

 ○生命に影響を与える可能性のある医療機器一覧表
医療機器分類医療機器名医療機器分類医療機器名
呼吸補助器
 酸素供給装置
 
 
 人工呼吸器
 
 
酸素発生式供給装置
酸素濃縮式供給装置
液体酸素気化式供給装置
成人用人工呼吸器
小児用人工呼吸器
内臓機能検査用器具
 集中患者監視装置
 及び関連機器
 一人用患者監視装
 置及び関連機器
 
 
集中患者監視装置及び関連機器
 
ベッドサイドモニタ
パルスオキシメータ
新生児モニタ
内臓機能代用器
 人工腎臓装置
 
 
 
透析用監視装置
多人数用透析液供給装置
個人用透析装置
 
 
 
 医用テレメータ及
 び関連機器
分娩監視装置
経皮血中ガス分圧モニタ
専用テレメータ
多用途テレメータ
 人工心肺装置
 その他の血液
 体外循環機器
 腹膜灌流用装置
人工心肺用ポンプ
補助循環装置
 
自動腹膜灌流装置
医薬品注入器
 医薬品注入器
 
 
 
輸液ポンプ
自動点滴装置
植込み型医薬品注入器
 心臓ペースメーカ
 及び関連機器
 人工膵臓
植込み型心臓ペースメーカ
体外型心臓ペースメーカ
人工膵臓
   
自動調剤等制御システム
 
保育器
 保育器
 
閉鎖循環式保育器
  放射線撮影装置
放射線治療装置
理学診療用器具
 脳・脊髄電気刺激
 装置
 除細動器及び関連
機器
 
脳・脊髄電気刺激装置
 
植込み型除細動器
 
   
透析装置集中監視システム
透析条件自動設定システム
 
 

 チェック表の作成 

 ○事務責任者および技術責任者がそれぞれの責任範囲のチェック表を作成し、各部署の使用機種、設置・配置機器を全てリストアップします。その際、備品台帳、購入台帳などを利用すると便利です。

  ※ チェック表の参考書式と記入例が福岡市医師会FAX情報サービスにて取り出せます。

 各システム・機器類の対応状況の確認 

 ○チェック表にはコンピュータ、コンピュータシステム、マイコンチップ内蔵が予想される医療機器類等をリストアップしてから、各々の2000年問題への対応状況を確認します。
  確認方法としては、コンピュータ・システムについてはシステム構築依頼先へ、コンピュータ、医療機器類等は購入した販売代理店あるいは販売元・製造元・輸入元などへの問い合わせが基本になります。

<医療情報室の目>
★まず周辺医療機器のチェックを

 2000年問題は、パソコンなどのコンピュータ関連機器のみならず、様々な医療機器やエレベータ ー・空調設備等にも発生する可能性があります。医療界にあっては、特に人命にかかわるような問題が 発生しないよう十分注意するため、上記に示された医療機器などを保有している場合、特段のチェック が求められます。
  具体的には、パソコンや医療機器類については購入した販売店やメーカーへの問い合わせを行うこと が基本となりますので、保有機器をリストアップし、メーカー・型式番号・製造年月・購入年月等の情 報整理を行うことが必要です。また、エレベーターや空調設備等は保守契約先へお問い合わせ下さい。

★インターネットで情報取得

 今回の2000年問題についての掲載内容は、日本医師会のホームページにより詳しく掲載されてい ます。また、2000年問題が掲載された関連サイトへのリンクも可能です。一度ご覧下さい。
    日本医師会ホームページアドレス http://www.med.or.jp/

  ※ご質問や何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。
   (事務局担当 百冨 TEL852-1501 FAX852-1510)

担当理事 江 頭 啓 介・山 浦 隆 宏 
  ★福岡市医師会FAX情報サービスにて医療情報室レポートが取り出せます。FAX852−1515をダイヤ
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   下さい。