医療情報室レポート |
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1998年12月18日 特 集:平成10年をふりかえって
第3次医療法改正、財政構造改革法に基づく社会保障費のキャップ制に対
する廃止論議、看護学校補助金削減問題、介護保険に向けての介護支援専
門員受講試験等々、平成10年も我々医療を取り巻く環境では様々な出来
事がありました。
※ご質問の他何かお知りになりたい情報(テーマ)がありましたら医療情報室までお知らせ下さい。 担当理事 江 頭 啓 介・山 浦 隆 宏
今回は平成10年をふりかえり、医師会、厚生省に関する出来事、その他
主な出来事について年表形式にて記してみました。
医師会関係事項
厚生省関係事項
主な出来事
1
月
・市医役員選挙、次期会長に竹嶋康弘会員を選出
・平成9年人口動態統計の年間推計を発表、出生率(人口千対)は9.5と過去最低に
(合計特殊出生率1.39:9月発表)
・平成8年度医療費統計を発表、医科医療費は23兆1776億円
・大蔵省・日銀接待汚職、三塚蔵相辞職、後任蔵相に松永光氏
2
月
・県医役員選挙、次期会長に関原敬次郎会員を選出
・エイズ動向委員会、「平成9年エイズ発生動向年報」をまとめる。エイズ患者報告数は過去最高を記録(250件、累積報告数1,648件)
・第18回冬季オリンピック長野大会開幕
3
月
・福岡県保健・医療・福祉団体連合会の発会式が16日開かれ、医療関係12団体が参加
・日医、政府・与党関係者に社会保障関係費の財源確保などを盛り込んだ要望書を提出
・平成8年「医師・歯科医師・薬剤師調査」の概況を発表、人口10万対医師数は191.4人に増加、女性の占める割合は13.4%で過去最高を記録
・准看護婦の「資質の向上に関する検討会」、「移行教育に関する検討会」の設置を発表、16、19日にそれぞれ初会合
・看護婦国家試験合格者発表、合格者44,364人と過去最高
・第7回冬季パラリンピック長野大会開幕
・山一証券、全ての営業を終え101年の歴史に幕
4
月
・日医役員選挙、会長に坪井栄孝会員を選出、常任理事に北九州市の西島英利氏就任
・叙勲受章
池尻泰二会員 勲三等旭日中綬章
大塚 量会員 勲四等瑞宝章
・第3次医療法改正、地域医療支援病院、診療所療養型病床群設置、医療法人制度の改正等が柱
・診療報酬改定、医科1.5%、薬価引き下げにより実質マイナス1.3%の改定に
・医師国家試験合格者発表、合格者7,806人、合格率89.6%
・平成10年度政府予算案が成立、総額77兆6,991億円、厚生省予算は14兆9,870億円で前年度比1.8%増
・政府・与党、社会保障関係費の対前年度伸び率を2%に抑えるキャップ制を平成11年度に限って停止することを決定
5
月
・市医、定時制看護学校の平成10年度補助金一部カットに対し、県議会議長、県保健福祉部長に対し抗議、地元選出国会議員3氏に見直しの請願を行う
・日医、看護学校補助金削減の見直しを求める要望書を厚生省に提出
・財政構造改革法改正案が成立、社会保障関係予算は平成11年度に限り2%の上限枠(キャップ)を撤廃
・総務庁、平成10年版・高齢社会白書をまとめる。9年10月現在高齢化率15.7%、平成27年には25%を超えると推計
・失業率が初めて4%を突破
・インド、パキスタンが核実験
6
月
・日医、「診療情報提供に関するガイドライン検討委員会」設置、今後1年をかけカルテを含めた診療情報全般を患者に提供する際のガイドラインを策定
・国保法等改正案が可決、病床過剰地域の保険医療機関指定拒否が明文化
・「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」診療情報開示の法制化を提言
・中央省庁等改革基本法案が成立、厚生・労働両省の新省名は推進本部で検討
・サッカーW杯日本初出場
医師会関係事項
厚生省関係事項
主な出来事
7
月
・日医、制度施行に向け「介護保険課」を新設
・第30回九州地区医師会共同利用施設連絡協議会が大分市で開催
・第37回十三大都市医師会連絡協議会が札幌市で開催
・局長級人事異動、保険局長に羽毛田氏、健康政策局長に小林氏、老人保険局長に近藤氏就任
・定時制看護学校運営費補助金を見直し、平均で削減分の約6%繰り戻し
・平成8年度の国民医療費を発表、総額28兆5,210億円、国民1人あたり22万6,600円
・第18回参議院通常選挙で自民党大敗、市医連推薦の吉村剛太郎氏当選するも日医連推薦の宮崎秀樹氏(比例区:自民党名簿16位)が落選
・橋本内閣総辞職、第84代首相に小渕自民党総裁、厚相には宮下創平氏が就任、太田誠一氏が総務庁長官に就任
・和歌山毒物カレー事件発生、死者4人、60人以上の被害者
8
月
・第29回中四九地区医師会看護学校協議会が山口県宇部市で開催
・平成9年度の医療保険医療費の動向を発表、医療費は26兆8,000億円で対前年度比1.5%と史上最低の伸び率。健保法改正による受診抑制を反映
・「平成9年簡易生命表」を発表、平均寿命は男性77.19年、女性が83.82年で過去最高を更新
・人事院勧告、過去最低の平均0.76%
・集中豪雨で関東甲信越地方に大きな被害
・バイアグラ密売で全国初の摘発
・北朝鮮がミサイル発射、日本上空を越え太平洋に着弾
9
月
・第35回九州首市医師会連絡協議会が福岡市で開催、協議会初の試みで公開シンポジウムを実施
・日医、11年度予算及び税制等に対する要望書を自民党に提出
・「平成9年医療施設調査・病院報告(動態)」を発表、健保法改正の影響受け1日平均外来患者数220万7,453人となりはじめて減少
・感染症予防法案が成立、平成11年4月施行へ
・言語聴覚士(ST)法施行
・福岡県の介護支援専門員実務研修受講試験が27日実施
・介護保険制度施行を控え全国でモデル事業が開始
10
月
・大熊隆人会員、日本医師会最高優功賞を受賞
・第50回世界医師会総会がオタワで開幕
・日医、薬剤一部負担の早期再検討に向け自民党と覚書を8月に交わしたと発表
・医薬品一般販売業約400店舗に、管理薬剤師を配置しているかなどについて立ち入り調査を実施
・福岡県の介護支援専門員実務研修受講試験が11日実施
・埼玉医大で国内初の性転換手術を実施
・岡山大病院で国内初の生体肺移植手術を実施
11
月
・叙勲受章
松浦龍二会員 勲三等旭日中綬章
谷口慶晃会員 勲三等瑞宝章
・日医、医療関係団体と「危機突破医療関係団体緊急会議」を開き、日本型参照価格制度導入の反対、医薬品原物供給制度、高齢者医療制度支持を確認
・薬価制度見直し議論の「たたき台」を医福審制度企画部会に提出、薬剤定価制・給付基準額制を提示
・福岡県の介護支援専門員実務研修受講試験は4,206人が合格、合格率は37.5%。全国では9万1,269人、合格率44.1%
・福岡市長選挙、山崎広太郎氏が次期福岡市長に当選。市医連推薦の桑原敬一氏は次点
12
月
・日医、「危機突破キャンペーン」の一環として全国紙3紙に薬剤定価・給付基準額制に反対する全面意見広告を掲載
・医福審老健部会、介護保険法施行令と政令案を諮問案通り答申。閣議決定を経て今月中に交付される見通し
・21世紀の社会保障制度を考える議員連盟(会長:竹下登元首相)が臨時総会で参照価格制度導入に反対し薬剤別途負担を早急に解消することなどを盛り込んだ決議を採択
・財政構造改革法停止法が成立
<医療情報室の目>
★激動の平成10年が終わろうとしています。今年も長引く不況、不良債権問題、銀行・企業の倒産、そしてヒ素事件、北朝鮮のミサイル事件など、政治・経済・社会的に暗いニュースが続きました。
医療界でも保険改訂に伴う患者の負担増により猛烈な受診抑制がおこり、1兆8千億円もの医療費が削減されてしまいました。
来年が少しでも明るい年になることを祈りつつ、私共の置かれている状況理解をタテ、ヨコ、時間の座標軸で整理して頂くため今回のレポートを企画しました。
先生方の今後の活動のお役に立てて頂くことを願っております。
(事務局担当 百冨 FAX852-1501 FAX852-1510)