不整脈を感じたら
夏の疲れがたまり、体調を崩しやすい季節です。こんなときに注意したいのが不整脈です。心臓の筋肉は、電気信号によって規則正しく収縮と拡張を繰り返し、体中に血液を送り出しています。何らかの理由で電気信号に乱れが生じると、心拍のリズムが不規則になります。これが脈の乱れ、不整脈です。
原因としては心疾患(心筋梗塞、心筋炎、心筋症など)がありますが、加齢だけでも起こります。年齢とともに刺激伝導系統の働きが低下し、不整脈が起こりやすくなります。他にもストレスや睡眠不足、過労、喫煙、飲酒などが原因になるので注意が必要です。
不整脈は二つのタイプに分けられます。脈が遅くなる徐脈性不整脈、1分間の拍動数が50回以下の場合は注意が必要です。洞不全症候群やブロックなどは高齢者に多く、めまいや意識を失うなどの症状が現れることがあります。安静時でも1分間の拍動数が100回以上になる頻脈性不整脈では、動悸(どうき)を感じたり、めまいなどの脳貧血症状を伴ったりすることがあります。この中に期外収縮、リズムが乱れて脈が飛ぶ不整脈も含まれます。のどが詰まった感じや、胸がきゅっと締め付けられる感覚がある人もいます。
不整脈の数や程度によっては薬を使うこともあります。心筋に作用して異常な興奮を抑える「リズムコントロール」や、心室に伝わる電気信号を減らして心拍数を抑える「レートコントロール」の作用を持つ薬が頻脈性不整脈の治療には有効です。心房細動などで心臓内の血液の流れが滞ると、血栓(血の固まり)ができやすくなるので、抗凝固薬が処方されることもあります。
薬以外にもペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)などの医療機器を体内に埋め込むデバイス治療やカテーテルアブレーション治療、外科的心臓手術があります。
不整脈の早期発見のため、自分で脈を測ることをお勧めします。手首より少し肘側、親指の付け根のあたりに指を添えて脈を測ります。1分間に100回以上、または50回未満やリズムに乱れがある場合は、医療機関で心電図を撮ってもらいましょう。近年は脈拍数を測定できる腕時計などもあります。試してみてはいかがでしょうか。
小野内科クリニック 案浦 美雪 先生
取材記事:ぐらんざ