オーラルフレイル予防で老化防止を
読者の皆さんに歯やお口に関する質問です。堅いものが食べにくい、食事中にむせることがある、話す時に舌がひっかかる、歯が抜けたままにしている―などがありませんか? 病気ではないので困ってはいないけど、些細なトラブルを感じている人が多いのではないでしょうか。日本は、2025年に75歳以上が2000万人を越える超高齢社会になります。一方で元気に自立して生活ができる健康寿命との差が男性は–9年、女性は–13年ありました。こうしたマイナス期間は寝たきりなどで生活の質の低下つまり要介護状態となる可能性が高いのです。
要介護状態を避けるために必要なのがフレイル(虚弱)対策です①筋肉量や運動器の機能が衰える身体的なもの②うつや認知機能低下による精神・心理的なもの③貧困や地域や友人、親類など付きあわなくなる社会的なもの―などフレイルには多面性がありますが、適切な介入をすれば機能を戻すことができます。
特に私たち歯科医師は以上列挙したフレイルに先駆けて口腔機能が衰える「オーラルフレイル」を防止することによって、全身の老化を防ぎ健康な状態に戻すことができると考えています。最初に質問をしましたが、始まりはほんの些細な症状にすぎません。見逃しやすく、気づきにくいものばかりなのです。
では、どうすればよいのでしょう。まず自分の状態を知ることです。ネットでも検索できますが、日本歯科医師会が「オーラルフレイル対応マニュアル2020年版」でセルフチェック表を作っています。このようなチェック表を使ってご自分の状態を知ることです。次に唇の筋肉や舌圧を鍛えるほか、唾液腺マッサージなどの口腔体操もあります。何より、虫歯、歯周病、歯の欠損などお口の病気の治療をして良い状態を維持することです。
そうすれば食事の際に正しく噛み、食べることで栄養摂取の向上を図れるのです。さらにかかりつけの歯科医院に定期的に通えばお口のメンテナンスをして良い状態を維持できます。ぐらんざ世代の約6割が歯周病に罹患していることがわかっています。歯周病のコントロールをするだけで、口腔内の環境は激変しますよ。
お口の健康を守り、笑顔で健康寿命を長くしていきましょう。
中島歯科クリニック 中島 清一 先生
取材記事:ぐらんざ