病状を知るためのコミュニケーション
身近な人や小さいこどもなどが感じている体や心・気持ちを理解することが難しい場合、体調の変化を知るにはどうしたら良いでしょうか。赤ちゃんのほほ笑みは、反射的なものかもしれませんが、何らかの意思が含まれている可能性もあります。言葉での意思疎通が難しい場合でも本人とのコミュニケーションは大切です。目をあわせることで何かを訴えるような瞳や表情などから、健康状態を読み解くこともできます。
発熱や咳などの明らかな症状が出ていない場合でも相手の体調を理解するためにも、話しをよく聞くことは重要です。一見異常を見つけることが出来ない場合でも、本人が繰り返し何かを訴えようとしている時は、少し時間をあけて再度受診をすることも選択肢だと思います。繰り返し何かを訴えようとしている時には、繰り返し話を聞くことで、大事なことを見落とすリスクは小さくなると思われます。
こどもに限らず話をしてくれる場合は、その人の言葉をなるべく遮らずに聞くことが大切です。不安を受け入れることが相手の安心にもつながり、遮ることで後から話そうとした大切なことを聞き逃してしまうこともあるからです。話を聞くだけでは解決しないかもしれませんが、それを聞き医師に伝えることが正しい診断へとつながる一歩になりますので、ひと言ひと言を大切に受け止めてください。
話しを聞くことが基本ですが、それは不安な気持ちで接するということではありません。相手を心配する気持ちをそのまま出してしまうと、その人が必要以上に反応してしまうことがあります。何度も「大丈夫? 大丈夫?」と確かめたい気持ちを少しだけぐっとこらえて、落ち着いた表情で接すると病気の人も安心すると思います。ただし、おしっこの量が減り続けたり、意識状態がおかしいと感じたりする時には、迷わずに医療機関への受診をおすすめします。インターネットは情報収集のために役立つこともありますが、家族や身近な人の観察に勝るものはありません。
独立行政法人国立病院機構福岡病院 本荘 哲 先生
取材記事:ぐらんざ