職場と家庭の心の疲れを予防・解消。

うつ病は、軽症うつ病まで含めると数人に一人が生涯に一度はかかるとされ、大変ボピュラーな病気です。うつ病になりにくいと思われる人も大きなストレスがかかれば発病の可能性を持っていると考えたほうがよいでしよう。

心のSOSが身体にあらわれます。

うつ病は、「気分が沈んで晴れ晴れしない」といった感情障害、「意欲がわかない」などの意欲・行動面での停滞、さらに「今まで楽しんでやっていたことが楽しめない」といった興味の喪失などの精神症状がうつ病の主体です。
さらに身体的には、「何となく身体がだるい、疲れやすい」などと漠然としたものから、頭痛・頭重、めまいなどの神経症状、食欲低下や味覚の鈍麻、痩せ、便秘、下痢、嘔吐などの消化器症状、息苦しさ、動悸などの循環器症状、さらには性欲減退、月経異常などが多く、睡眠障害はほとんどの人に起こります。
このように、ありとあらゆる身体的白覚症状が非常に高率に出現するのがうつ病の特徴なのです。そのため、身体の病気と思い、身体科を受診しても検査では異常が見当たらず、病院を転々としているケースがあります。
しかし、うつ病による身体症状は本丸であるうつ病を治療しなければ治リません。検査で異常がない、あるいは治療にもかかわらず身体症状が良くならない場合は、うつ病ではないかと疑ってみる必要があります。

家族や周囲の温かい理解と支えが大事です。

うつ病は「怠け」ではなく「脳の病気」であるという理解が重要です。そして、病気だからこそ薬が必要なのです。休養や休職を積極的にすすめ、薬への依存性や脳に影響するのではないかという誤った認識を変えることが大切です。
周囲が気づく変化としては、「以前と比べて表情が暗く、元気がない」「体調不良を訴え(身体の痛みや倦怠感)が多くなる」「仕事や家事の能率が低下、ミスが増える」「周囲との交流を避けるようになる」「遅刻、早退、欠勤(欠席)が増える」「興味やスポーツ、外出しなくなる」「飲酒量が増える」などがあります。
周囲としては、

  • あまり態度を変えずに、今までどおりに自然に接する。
  • 温かく見守る。(安易な励ましは逆効果になることもある。)
  • 考えや決断を求めることはやめる。
  • 霞要な決定は先延ばしにさせる。
  • 外出や運動を無理にすすめず、ゆっくり休ませる。
  • 家事などの日常生活上の負担を減らしてあげる。

というような配慮が必要です。

自分でできるストレス予防対策。

予防に大切なのはストレス対策です。日頃から頑張リ過ぎていないかと自問自答してみる、適当なストレス解消法を見つけておく、相談する人を見つけておくなど、ストレス対処法を勉強しておくことが大切です。