今、知っておきたい肺炎のいろは
肺炎とは、肺に入った細菌やウイルスが感染し、炎症を起こす病態です。年齢を重ねると肺炎は気を付けないといけない病気であり、肺炎で亡くなる方の96.5%が65歳以上と報告されています。※1 中でも75歳以上になると肺炎により亡くなる率が急激に上昇します。※2 なぜ高齢になると肺炎で亡くなる人が多くなるのかというと、一つには歳と共に持病のある人が増えるからと考えられています。がんや糖尿病、腎臓、心臓の病などを持っている人が肺炎になると、その持病が悪化したり、肺炎が重症化しやすくなるのです。
では、高齢でかかる肺炎はどんな特徴があるのでしょうか?一般的には肺炎にかかると熱、咳、痰、息苦しさなどの症状が出現します。しかし高齢者の場合は何となく食欲がない、活気がないというように典型的な症状が出ない場合があり、そのことが重症化する一因とも考えられています。また肺炎にかかると、寝たきりや体力の低下が原因で再びかかりやすくなるのも注意すべき点です。特に飲食物や唾液が誤って気管に入りこんだとき、一緒に口腔内の細菌などが肺に流れて発症する誤嚥性肺炎は、気を付けたい肺炎の一つ。治療のために一時食事をやめざるを得ない場合があり、肺炎が良くなってもその後飲みこむ力が弱くなることで再び誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
肺炎を予防するには、持病の治療やバランスの取れた食事・適度な運動によって体の状態を良くすることが重要です。手洗いやうがい、口内ケアを心がければ、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。原因菌として多い肺炎球菌の予防ワクチンも、免疫を作り、重症化を抑えるために有効です。
それでも肺炎になることはあるので、異変を感じた時に早めに病院を受診することが大事。本人が気づかないことがあるので、家族やまわりの人が異変に気づき、かかりつけの先生に診てもらうことが重症化を防ぐ一番の対策になります。
※1 厚生労働省 人口動態統計(確定数)2011年より
※2 厚生労働省 人口動態統計(確定数)2006年より
福岡赤十字病院 呼吸器内科部長 河口 知允先生
取材記事:ぐらんざ