不整脈への正しい理解
ドキドキ動悸がしたり、脈が不規則になったり、日常生活の中で不整脈を感じたことはありますか?不整脈とは、血液を全身に送り出すポンプの異常ではなく、リズムが乱れること。だから血液が詰まって胸が苦しくなる心筋梗塞とは違い、不整脈では痛みを感じることはほぼありません。原因は加齢や体質によるものが多く、予防法がないことがほとんどです。
安静時に1分間50以下と脈が遅い「除脈」性不整脈と、100以上の「頻脈」性不整脈があります。徐脈は脈を作る機能が年齢と共に弱まることが原因。そのため失神やふらつきなどの症状がなければあまり心配ありません。ただし長く続くと心不全になる可能性が高まり、その場合はペースメーカーの植え込み手術が必要になってきます。また、不整脈で良く見られるのが「期外収縮」です。
症状としては、脈の飛ぶ感じや胸の不快感がありますが、すぐ治まることが多く、それを感じない方も多いです。症状が強く頻度が多い場合は、抗不整脈薬や安定剤を服用する場合もあります。他の心臓疾患をお持ちの方は危険な状態に移行することもあるので、一度詳しく検査してみてください。
重篤な病気に繋がり得るものとしては、心房が小刻みに動く頻脈性の「心房細動」が要注意。これも一種の老化現象のようなもので、80代の10人に1人位の割合で起こっています。これ自体は命に関わりませんが、長く続くと心房の血液がよどんで血栓ができ、それが脳で詰まってしまえば脳梗塞に。ただ適切な薬を服用していれば脳梗塞の予防は可能です。
不整脈は精神的ストレスや睡眠不足、疲労でも悪化するので、むやみに神経質にならず規則正しい生活を心掛けることが大切。仮に危険な不整脈になっても今の医療でほぼ治すことができます。不整脈を感じた場合は自己判断ではなく、病院で心電図を取って治療が必要かどうかの的確な判断を仰ぎましょう。
小野内科クリニック 院長 案浦 美雪先生
取材記事:ぐらんざ