寒さが厳しい冬は気をつけたい心筋梗塞

 心臓は、心筋という筋肉の固まり。ポンプのように血液を溜め、全身に送りだす働きをしています。しかし心臓が動くためには、自分自身にも血液が必要。そのため心臓を取り巻く冠動脈が血液を心筋に送っています。この冠動脈が細くなり血流が悪くなるのが狭心症、完全に詰まってしまうのが心筋梗塞です。原因の多くは動脈硬化。血管の壁にコレステロールが溜まって血管が狭くなり、さらに血栓ができると血管が詰まって心筋梗塞に陥るのです。一般的に男性は40代から年齢と共に増加。女性はホルモンによって動脈硬化が予防されているため、閉経後の60代から増えてきます。

 心筋梗塞の前兆としてあるのは狭心症の症状。典型的には運動したら胸が痛く重苦しくなります。この時の痛みは部分的でなく、心臓を掴まれるような痛さ。血管が狭くなって十分な酸素が送られてこないためですが、10分程休めば治まることがほとんど。階段を登ると人より息切れや動悸がする時も要注意。糖尿病の人は症状を感じにくかったり、年のせいにしたり、自分では判断しにくいものかもしれません。

 一方の心筋梗塞は、完全に詰まるため症状が回復せずどんどん苦しくなります。その理由は詰まった血管から先の血流が途絶え、心筋が壊死してしまうから。放っておくと不整脈や心不全になって生命の危険に繋がることもあるので早期の治療が必要になります。生汗が出る、30分以上続くような痛みであれば救急車を呼び、一刻も早く病院に行くようにしましょう。

心筋梗塞になりやすいのは自律神経が切り替わる朝と、寒さで血管の収縮が起こりやすい冬場。特に温度差が生じやすい風呂場や脱衣所は注意が必要です。高血圧・糖尿病・高脂血症・喫煙も大敵です。これらを治療したり禁煙したりすれば動脈硬化の進行を止めることができるので予防が肝心です。


小野内科クリニック 院長 案浦 美雪先生


取材記事:ぐらんざ