糖尿病は万病のもと 適正な食事、運動が大切
糖尿病でお悩みの人はいませんか。現在、糖尿病患者の半数ほどが65歳以上の高齢者で、今後も増加が予想されています。
糖尿病は体質と生活習慣の乱れが原因とされている生活習慣病。高齢者の場合は、肥満、食べ過ぎ、ストレス、運動不足といった若年者でも共通の原因に、加齢が加わります。若い人に比べて糖を下げる能力、インスリンの分泌、基礎代謝が落ちてしまうのです。
糖尿病はさまざまな合併症を誘引します。小さな血管の障害である網膜症や腎症、大きな血管の障害による動脈硬化症、脳梗塞、心筋梗塞が起こります。脚の閉塞性動脈硬化症も多いです。糖尿病の高齢者は同じ年齢の人と比べて動脈硬化症のリスクが3倍にもなります。
また、最近は糖尿病と老年症候群が密接に関係していると言われています。その典型が認知症や骨折(骨粗しょう症)。筋力、筋肉量が低下するサルコペニア、心身が虚弱状態となるフレイルもその例に挙げられます。
糖尿病の治療の根幹は、食事療法と運動療法です。食事制限のイメージがあると思いますが、高齢者はサルコペニア、フレイルを避けるため、バランスのとれた適正な食事を取ることが大切です。筋肉を保つために、大豆、魚、肉などのタンパク質を必要量摂取してください。そして運動もしっかりと行いましょう。高齢者の運動は歩くことが一番です。つま先立ち、スクワットなどの軽い筋力トレーニングを加えるとなおいいでしょう。 それでもコントロールできないときは薬での治療になります。その際は低血糖にも用心を。高齢者は健康状態などの個人差が大きいため、目標とする血糖コントロール値をそれぞれに決めることをお勧めします。かかりつけ医に相談してください。
糖尿病は上手にコントロールしていくことが大事です。重症化しないように気を付けながらお付き合いしていきましょう。
福岡市健康づくりサポートセンター センター長 医学博士 井口登與志 先生
取材記事:ぐらんざ