ソフトバンクホークスの王貞治監督の次女であり、近年は、野菜ソムリエや雑穀エキスパー
トとしても活躍されている王理恵さん。「健康を維持するためには、何よりも食生活が大切」と

気づいたのは、お母さまの病気がきっかけだったそうです。


【王 理恵んプロフィール】
 1970年 東京都生まれ。青山学院
 大学文学部卒業後、広告代理店・博報
 堂で勤務
 退社後、父親・王貞治氏の福岡ダイエ
 ーホークス監督就任を機に、福岡での
 スポーツ番組やラジオ放送に出演。さ
 らに現在は、野菜ソムリエ(ジュニア
 ベジタブル&フルーツマイスター)や

 雑穀エキスパートとして、各地のイベ

 ント講演や雑誌連載などもこなす。

     
 
 
     
 
       


理恵さんはとても肌がきれいで、健康美人という言葉もぴったりですね。
 実は、15年前は今より20kgぐらい体重が多かったんですよ。当時は大学でゴルフ
をしていて筋肉もあったんですが、とにかく食生活が不規則でした。毎週2、3回は外食
で、野菜もほとんど食べていなかったんです。カロリーは十分に摂れているのに、朝起き
てもだるいし、吹き出物もたくさんあって、どうして体調が悪いんだろうと。今になって
振り返ると、やはり食生活が悪かったせいだと実感しています。
 今は全体のバランスに気をつかいます。細かく何品目って決めているわけじゃありませ
んが、「食事バランスガイド」(※注)は参考にしています。これを見ていると、今の私
たちの食生活って日本の伝統食とはかけ離れたバランスになっているのがわかります。ご
飯をあんまり食べず、肉や魚みたいな主菜に走ってしまうとか。
 私の場合、例えば豆や海草類は、家にいるときになるべく摂るようにします。あと、間
食にお豆や昆布、ドライフルーツを食べたりしますね。


現在のような食生活には、いつ目覚めたんですか?
 母親が病気になってからです。胃がんで57歳で亡くな
ったのですが、私は3年間、病院で看病して一緒に過ごし
ました。その中でショックだったのは、彼女が、口から食
べられなくなってからの体の弱り方を目の当たりにしたこ
とでした。「口から食べること」がどんなに大事かってこ
とを、実感したんです。カロリー総計を満たせばいいとい
うものではない、本当に気にすべきなのは「何をどう食べ
るか」なんだなと。
 例えばリンゴや玉子ばかり食べるダイエットなど、カロ
リーは満たしても栄養素が偏った食生活は、若いときなら
何とか乗り切れるかもしれません。でも母親ぐらいの年に
なると、だんだん無理がきかなくなってくるのですね。結
局、自分の体って、それまで食べてきたものでできている
んだと、母の看病に付き添いながら気づいたのです。変な
話、この経験が、母親から私への贈り物だったような気も
します。


そして今は野菜、雑穀のエキスパートに。

 雑穀だけ、野菜だけ食べてればいいってものじゃなくて、自分の今の食生活に必要なも

のを突き詰めていったら、そこに興味が行ったという感じですね。雑穀も、最初は玄米派
だったんですよ。でも父や姪っ子たちは「まずい」って言って全然食べてくれなかったん
ですね。無理に食べさせるわけにはいかないし、美味しくないものは、いくら体に良くて
も続かないですよね。そこで雑穀米にであったんです。白いご飯に混ぜて炊くだけで簡単
だし、みんなも美味しいって言ってくれて、これならと勉強を始めました。
 ただ基本的に私の中では「何を食べちゃいけない」っていうものはないんです。焼肉も
お寿司も好きだし。ただ気をつけられる時には気をつけようというだけでも全然違うと思
うんですよ。知って食べるのと何も気にしないで食べるのとでは全然違いますよね。
 この食生活になってから、体調はもちろん、風邪も引かなくなりました。
 
王理恵さんと言えば、「マイ箸」ブームの立役者としても知られていますね。
 あ、今もカバンの中にちゃんと持ってま
すよ。私にとってマイ箸は、携帯電話と同
じぐらい大事です。出かける時にも最後に
「ええと携帯は…」と確認するのと同じよ
うに、マイ箸も確認しますから。
 これを使うことで、「食べることを大事
にしている」っていう感覚はすごくありま
すね。いろいろな意味で「食を大事に思う
姿勢」を基本にしながら、体の健康も維持
していきたいと思います。