高校在学中にプロテストに合格し単身上京。その後、新人王、日本チャ
ンプ、世界チャンプに。現在、福岡市博多区に『SPANKY・K SACRED BOXING

HALL』というボクシングジムをもち、小学生や女性も含めたたくさんの会

員に指導を行っています。


【鬼塚 勝也んプロフィール】
 1970年 北九州市小倉生まれ。
 1984年 世界一強い男を目指し、ボクシング
     ジムに通い始める。
     豊国学園に進学後、全国大会ライト
     フライ級優勝。
     高校在学中にプロテストに合格する。
 1988 プロデビューをKO勝ちで飾る。
 1989年 全国新人王に輝く。
 1990年 ジュニアバンダム級王座獲得。
 1992 WBA世界ジュニアバンダム級王座を
     獲得し、世界チャンピオンとなる。5
     回の防衛後、1995年5月引退を発表。
 1999年 博多区中呉服町に『SPANKY・K SACRED
     BOXING HALL』が完成する。
 
 
 
 

ボクシングを始めたきっかけは何ですか?
  ボクシングをしようと思ったのは小学生のときからです。世界一強くなりたいと
ずっと思っていました。とにかく、強くなりたかった。だれにも負けない強さがほ
しかった。

ボクシングを始めたのはいつごろですか?
 ジムに通うようになったのは中学生のころです。そのままプロ
になろうと思っていたから、高校にもいくつもりはなかったんで
すが、アマチュアも経験しておこうと、ボクシング部のある豊国
学園に進学しました。そこで、部活とジムのボクシングの練習に
明け暮れ、高校2年で全国チャンピオンになりました。こうした
経験はとても大きなものになりました。
 

世界チャンピオンになったときは、どんな気持ちだったのですか?
  ボクシングを始めたときから世界チャンピオンだけを目標にやってきました。で
も、実際に世界チャンピオンになったときに、中身は何も変わっていないことに気
づいたんです。チャンピオンになれば、違った世界が見え
ると思っていた。心も強くなっていると思っていた。それ
なのに、自分は何も変わっていなかった。周りは「世界だ!」
「チャンプだ!」と騒ぐけれど、僕自身はとても冷静で、自分
が世界チャンピオンであるという認識はなかった。肩書き
がチャンピオンになったからといって、僕自身は何も変わ

っていない。だから、僕はチャンピオンになってからも、

常に挑戦者としてリングに上がり続けました。
 

リングに立つときはどんなことを考えていたのですか。
 「無」です。それまで勝つためにやってきたことを信じるだけでした。

「自分らしく」とは、どのようなことですか?
 僕は、子どものころから自分らしくいたいと思って
いました。先生に「小学生らしく」とか「中学生らしく」 
とか言われて、よく注意されていましたが、僕にして
みれば、僕らしくしていることに、何の問題があるの 
かと。人が決めた「らしく」なんて、何の意味もないと
思っています。いかに自分らしくいられるか、どうす
ればいいか、どこが自分らしくいられる場所なのか、
常に「らしく」を追求しています。

鬼塚さんの生き方には「自分らしく」がテーマになっているわけですね。
  テーマというか、はだかのままで勝負できる自分でいたいと思っています。だから
こそ、自分らしくいることが大事なんですよ。世界チャンピオンのときに、僕が戦う
試合を見て、勇気づけられたり励まされたといって喜んでくれる人たちがいました。
僕とは何の関係もない、まあ、ファンという人たちなのですが、それはすごいことだ
と思いましたね。僕は僕のために戦っている。ただ、強くなりたいという思いをもっ
て、自分のために試合をしている。でも、自分の知らない所で、戦う僕の姿を見て、
勇気づけられたり励まされたりしているわけです。彼らの人生に何らか影響を与える
事ができる。これはすごいことだと思いました。

引退後もすばらしい肉体を維持している、ご自身の健康法について教えてくだ
  さい。
 やはり、食事と運動です。肉体に余分なものはつけたくないので、今でも変わらず
トレーニングは欠かしません。教えるときも口ではなく、実際にやって見せています
よ。体調が悪くて運動量が減ってしまうときには食事の量を減らしてバランスを取っ
ています。たまには、好きな物を好きなだけ食べてストレスにならないようにしてい
ますが、次の日にはちゃんとトレーニングして元に戻しています。

現在は、ジムで会員の方々を指導されているようですが、ボクシングを生涯ス
 ポーツの観点で指導されているのですか。
 ジムを開設したときからの思いですが、このジムはボクシング

という競技をするためだけのジムではありません。小学生もサラ
リーマンも女性も、年齢や職業なんて関係なくつきあえる場所、
教会のような空間にしたかったんです。そして、通ってくるうち
にみんなの表情が変わってくる。それが自分の喜びです。
 どんなスポーツも選手になるだけが目的ではないでしょう。ボ
クシングも同じです。体を鍛えたり、ストレス解消したり、ダイ 
エットしたりと、いろいろな目的で始めてもらって、自分のため
に続けてほしいと思います。