令和7年4月2日 定例記者会見

 本会では、医師会活動や医療に関する最新情報を発信することで地域における公衆衛生の向上と市民に親しみやすい医師会を目指すことを目的に、「定例記者会見」を開催しています。
 26回目となる今回は、令和7年4月2日(水)13時30分より福岡市医師会館内の看護専門学校教室にて実施し、報道機関8社が参加しました。

1.医療従事者不足と医療機関の経営状況 <菊池会長>

 菊池会長から医療現場の現状について説明しました。高齢化が進み医療・介護を必要とする方が増加する一方、少子化や賃上げ問題の影響により人材不足が深刻な中、昨年より運用開始した本会求人マッチングプラットフォーム「for-us」の採用実績等を報告しました。
 続いて医療機関の経営状況について説明しました。令和6年の診療報酬改定はインフレ率等を考慮すると実際は改定率より大幅にマイナスで医療業界にとって大変厳しい内容であり、日医・6病院団体の合同会見で示された診療報酬改定後の病院の経営状況調査結果や九州・沖縄地区の医療機関倒産件数等を示しながら危機的状況にある医業経営を説明しました。国や行政によるこれまでの支援は、昨今の急激な物価高騰と人件費上昇への対応には到底追いついておらず、引き続き医療現場の経営状況を伝え、支援を要望していく考えを示しました。
 以上の状況から地域医療は崩壊寸前で医療を受けられなくなる可能性があり、良質な医療機関が無くなるのは大きな問題で、地域医療を支えるため真面目に取組んでいる医療機関への救済を訴えました。
 併せて最近の問題として、自由診療の美容医療を提供する医療機関の急増を挙げ、優秀な医師の自由診療への流出は日本の医療にとって問題であり、今後の国の対策を求めました。

2.福岡市医師会看護専門学校の紹介 <大木副会長>

 大木副会長から本校の特徴と実績を説明しました。
 本校は開校以来100年以上の歴史がある伝統的な看護師養成校で、経験豊富な教師陣と充実の設備で看護のスペシャリストを育成しており、これまで計18,000名超の卒業生を輩出してきたことを説明しました。また、通学に便利な立地や市内の代表的な病院等を中心とした臨地実習実施など恵まれた学習環境にあり、全科とも高い合格実績の特徴を述べました。
 しかしながら、女性が選択する職域拡大や近年の少子化、大学志向の高まりによる志願者減少等の影響で、全国的に多くの准看護師・看護師養成校で閉校や閉科が続く深刻な状況にあり、本校でも准看護科ならびに第2看護学科の学生募集停止の状況を説明しました。引き続き募集継続する第1看護学科の概要やオープンキャンパスについて紹介し、厳しい経営状況であるが看護師養成に注力していく決意を述べました。

3.感染症動向およびワクチン接種勧奨 <植山常任理事>

 植山常任理事より感染症発生状況と予防接種について説明しました。
 事前質問の急性呼吸器感染症の5類位置づけに伴う医療機関や患者などへの影響について、市民に新たに制限や負担等が求められるわけではなく、感染症の早期注意喚起や体制整備に繋げるため定点医療機関で感染状況を把握していくことを解説し、症状等がある場合はこれまで同様基本的な感染対策を行うようお願いしました。直近の報告で感染性胃腸炎が高い値で推移しているため、手洗いや患者との濃厚接触を避け、消毒や嘔吐物などの処理に「塩素消毒液」使用などの感染拡大防止対策について説明しました。
 県内でも感染者が確認された麻しんについては、感染が疑われる時は事前に医療機関に電話連絡のうえマスク着用での受診、受診時は公共交通機関等の利用は控えていただくよう述べました。また、定期予防接種の概要や生年月日別接種歴を説明し、定期接種対象者以外で2回未接種の方は任意接種が可能であり、感染歴や接種歴が不明な場合は抗体検査を検討するよう呼びかけました。
 令和7年度から定期接種となる帯状疱疹ワクチンについて、福岡市で一部助成を行う任意接種と併せ対象者の詳細を解説し、接種を希望する方は直接医療機関に予約するようお願いしました。


関連資料

医療従事者不足と医療機関の経営状況 (PDF)
福岡市医師会看護専門学校の紹介 (PDF)
感染症動向およびワクチン接種勧奨 (PDF)


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