令和6年4月3日 定例記者会見

 本会では、医師会活動や医療に関する最新情報を発信することで地域における公衆衛生の向上と市民に親しみやすい医師会を目指すことを目的に、2ヵ月に一度「定例記者会見」を開催しています。
 22 回目となる今回は、令和6年4月3日(水)13時30分より福岡市医師会館にて実施し、報道機関8社が参加しました。


1.総論 <平田会長>

 平田会長からは、新型コロナおよびインフルエンザの感染状況や4月からの新型コロナ対応と医師の働き方改革等について説明しました。
 福岡市における新型コロナの報告数は減少傾向にあり、第10波のピークは過ぎたと考えられるが、公費支援終了の影響として、受診控えによる感染拡大等が懸念されるとの見解を示しました。また、インフルエンザは依然として注意報レベルに近い高い数値が続いているため、基本的な感染予防対策の継続をお願いしました。
 4月から開始された医師の働き方改革については、時間外労働の上限規制等による地域医療提供体制への影響は否めず、本会でも対策を講じている状況を伝えました。
 また、能登半島地震の支援活動状況について、災害に対する医療機関の備えとしてBCP(事業継続計画)策定が重要で、今後、会員医療機関が被災時に自立して対応できるよう、各医療機関毎のBCP作成について支援していく旨を報告しました。
 最後に、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)について、相談員育成研修会開催などの本会の取組みを紹介し、引き続き体制整備に努めていく考えを示しました。

2.医療現場における問題事項 <菊池副会長>

 菊池副会長からは、本年3月に会員医療機関を対象に実施した「医療現場における問題事項調査」の結果を報告しました。
 医療DXが進められる中、オンライン診療は76%が「不可能」、オンライン請求は84%が「既に実施」、医療扶助のオンライン資格確認は35%が「対応済」、リフィル処方箋は92%が「実績無し」、電子処方箋は70%が「導入予定無し」等の調査結果を説明し、電子化に伴う費用面や業務負担感などの解消が課題であることを述べました。
 また、医療従事者の確保状況は「不足」が44%で、求職者の減少や人材派遣会社の高額な手数料により人材確保に苦慮している状況から、本会では医療機関と就業希望者のマッチングシステム構築を予定していることを伝えました。さらに、開設者や管理者の医師の働き方については「過重」が20%の回答で、開業医は個人事業主で診療以外の業務に負担感を感じており、業務効率化や人材確保による負担軽減が必要との考えを説明しました。

3.質疑応答

 平川常任理事からは、報道機関から寄せられた質問のうち、働き方改革の現状と課題、対応と取組みについて回答しました。
 働き方改革は今後の医療提供体制に大きな影響を及ぼすと考えられ、本会では各医療機関等と連携を図りながら体制維持に取り組んでいる状況を説明し、地域医療の崩壊を回避するために市民に向けて、電話相談事業の活用や、急変時以外の平日日中時間帯でのかかりつけ医受診、救急車の適正利用への協力をお願いしました。
 中山常任理事からは、各種感染症の動向と新型コロナ公費支援終了の影響と懸念等について回答しました。
 新型コロナの医療提供体制について説明のうえ、本会では、体制強化のため好事例集公表やWEBセミナー配信を実施したことを報告しました。4月からの支援策変更の影響としては、受診控えや治療を希望しない方の増加が予想され、今後は感染者数の把握が困難となり重症化率が高くなることが懸念されると指摘しました。
 また、福岡市でA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が流行している他、国内では麻しんの感染者が増加しワクチン不足が懸念されるため、定期接種対象外の方が不安を感じる場合は、まず抗体検査を受けるよう呼びかけました。


関連資料

総論 (PDF)
医療現場における問題事項 (PDF)
質疑応答 (PDF)


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