令和5年8月2日 定例記者会見
本会では、医師会活動や医療に関する最新情報を発信することで地域における公衆衛生の向上と市民に親しみやすい医師会を目指すことを目的に、2ヵ月に一度「定例記者会見」を開催しています。
18 回目となる今回は、令和5年8月2日(水)13時30分より福岡市医師会館にて実施し、報道機関9社が参加しました。
1.総論 <平田会長>
平田会長から、新型コロナの感染状況と今後の見通し、予め報道機関から寄せられた医療分野における人手不足に関する質問等について回答しました。
新型コロナ定点あたりの報告数は、5類移行直後と比較して直近で約9倍となっており、感染者増による医療提供体制への負荷増の恐れがあるため、ワクチン接種や基本的な感染予防行動の徹底をお願いしました。
また、熱中症について、気づかないうちに脱水症状を起こすことがあるため注意を促しました。高齢者における場所別の搬送割合は「住居」が半数以上を占めていると説明し、高齢者に限らず、エアコンによる温度調整や水分補給などの対策を取るよう呼びかけました。
医療機関の人員体制について、福岡県の医療・福祉分野では近年入職率が低下傾向にあり、深刻な人手不足に陥っている状況を説明しました。併せて、一部の人材紹介会社による高額な紹介手数料や紹介者への早期退職勧奨等の違反行為が問題となっており、医療機関では紹介手数料が負担でも人材紹介に頼らざるを得ず、経営圧迫に繋がっている状況を説明し、医療界における人材不足への理解を求めました。
2.働き方改革が及ぼす救急など医療提供体制への影響
<案浦専務理事>
案浦専務理事からは、来年4月より医師にも適用される働き方改革について、医療業界における現状や改革の目標、本会の取組み等を説明しました。
福岡市急患診療センターでは、各診療科で大学病院等から出務している勤務医の割合が多くを占めており、働き方改革による時間外労働が規制されることで、市内の救急医療体制への影響が考えられることから、体制維持のために福岡市と協議をしている旨報告しました。また、急患センターの平均受診者数を示しながら、医療提供体制の維持のため、急変時以外の日中受診や救急車の適正利用への協力をお願いし、医師の働き方改革が及ぼす影響を身近な問題として関心を持ってもらうよう伝えました。
最後に、その他の影響として、医療機関間での人材確保の競合や、他職種へ業務を移管する「タスクシフト/シェア」進行、医学分野の研究や教育への時間減少等を挙げ、本会では各医療機関における現状や課題の共有のため「医師の働き方改革検討会議」を設置し、市内の大学病院や救急病院、有床診療所等と連携を図りながら地域の医療提供体制維持に取り組んでいる状況を説明しました。
3.質疑応答
平川常任理事からは、報道機関から予め寄せられた質問のうち、医療機関の受診・逼迫状況について、現在の新型コロナの感染状況は季節性インフルエンザの警報レベルに近いとの見解を示し、多くの医療機関でのクラスター発生が予想され、感染者増加に伴う緊急搬送困難事例が増加している状況を説明しました。
また、災害時における支援体制について、本会では令和2年に「大規模災害対策マニュアル(カテゴリーⅡ)」を作成しており、発災直後から医療需要と供給能力を把握の上、支援の適正化を図る体制を整えており、平時より関係機関との連携や物資の備蓄・調達、訓練等が必要であるとの認識を示しました。
中山常任理事からは、新型コロナや夏風邪の感染状況について、例年冬に流行するインフルエンザが今年は未だ収束せず、咽頭結膜熱や溶連菌感染症、ヘルパンギーナ等についても警報レベルを超えている時期があり、全国と比較しても感染者が多い状況を報告しました。これらの感染症は発熱を伴う疾患で、新型コロナへの罹患を想定して空間的分離や感染対策を行いながらの診療となるため、医療機関で負担増となっている現状を説明しました。
関連資料
・総論 (PDF)
・働き方改革が及ぼす救急など医療提供体制への影響 (PDF)
・質疑応答 (PDF)
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