令和5年2月1日 定例記者会見
本会では、医師会活動や医療に関する最新情報を発信することで地域における公衆衛生の向上と市民に親しみやすい医師会を目指すことを目的に、2ヵ月に一度「定例記者会見」を開催しています。
15 回目となる今回は、令和5年2月1日(水)13時30分より福岡市医師会館にて実施し、報道機関10社が参加しました。
1.福岡市感染症概況等総論 <平田会長>
平田会長から、現在の新型コロナウイルス感染状況と、予め報道機関より寄せられた質問等に回答しました。
第8波の市内の新規感染者数の増え方は緩やかに見えるが、無症状者や感染しても受診しない方も増えていることから、実際にはさらに多くの感染者が出ている可能性を示しました。
また、年代別感染者の内訳とワクチン接種の状況により、接種率が低い30代以下の若年層ほど感染率が高い傾向にあることから、重症化リスクの高い高齢者等への感染予防のため、ワクチン接種の検討を呼びかけました。
報道機関からの質問で、新型コロナの感染症法上の分類を5類へ移行することに対する医師会としての考えについては、5類に引き下げてもウイルスの感染力が変わるわけではなく、患者の受入れ先が確実に増加するとは言い切れず医療ひっ迫のリスクには変わりないため、医療機関や高齢者施設においては感染防御策やクラスター対策等の2類感染症に準じた対応を継続する必要があるとの考えを示しました。そのため、病床確保料等の支援策や行政における入院調整、ワクチン接種の無償化等の様々な政策の継続も必要であり、マスクの着用についても、感染リスクに応じて着脱するようガイドラインを作成し国民に示すべきであると述べました。
最後に市民に向け、新型コロナおよびインフルエンザへの基本的な感染対策と抗原検査キットや解熱剤を準備し感染に備えるようお願いしました。
2.かかりつけ医の役割 <菊池副会長>
菊池副会長からは、かかりつけ医に関する医師会の取組みや政府が進める制度等の今後の流れ、登録制の問題点について説明しました。
日本医師会では平成25年に「かかりつけ医」について定義した後、平成28年には「日医かかりつけ医機能研修制度」を創設するなど、かかりつけ医の普及に取り組んできたことを報告しました。
かかりつけ医に関する議論において、かかりつけ医を「登録制」として決められた医療機関のみを受診可能とする仕組みを提言する意見もあるが、日本の医療の特徴であるフリーアクセスが制限され、受診の順番待ちや疾病の増悪、重症化につながる可能性があることは、特に指摘される問題点であると述べました。
最後に市民に向け、かかりつけ医の選び方や見つけ方を示し、また、令和4年の診療報酬改定により紹介状なしで大病院を受診した際の定額負担が拡大していることなどから、受診の際にはかかりつけ医へご相談の上、状況に応じて地域の専門医等を受診するよう呼びかけました。
3.質疑応答
平川常任理事より、予め寄せられた報道機関からの質問のうち、新型コロナウイルスによる死者数増加の要因について回答しました。福岡県における超過死亡者数のデータを示し、新型コロナの陽性者であって入院中や療養中に死亡した者のうち、コロナ特有の重症肺炎による死亡者は少なく、死亡要因のほとんどは高齢者の誤嚥や基礎疾患の増悪であると説明したうえで、新型コロナが超過死亡を起こしているというわけではないと捉えられると説明しました。
中山常任理事からは、インフルエンザの流行状況と新型コロナとの同時流行による医療ひっ迫の状況について回答しました。小児を中心にインフルエンザが流行しており、要因として免疫力の低下やワクチンを接種した人が少ないことを挙げ、基本的な感染対策やワクチン接種の検討を呼びかけました。
また、搬送困難事例やクラスター発生施設が増加しており、第7波の感染拡大時には診療・検査医療機関に患者が集中し発熱患者により外来医療がひっ迫したため、昨年11月より診療・検査医療機関の募集を続け外来機能を充実させるよう努めていることを報告しました。
関連資料
・福岡市感染症概況等 (PDF)
・かかりつけ医の役割 (PDF)
・質疑応答 (PDF)
問い合わせ先
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TEL 092-852-1505
FAX 092-852-1510
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